











それは2007年5月1日の事でした。
Y様からご相談を受けました。
Y様:龍の指輪を探してるんだけどありませんか?
一成:どのような龍の指輪ですか?
Y様:蛇のようにくるくるッと指に巻き付いてるような龍の指輪です。
一成:う〜ん。蛇の指輪なら見たことがあるのですが龍でそのような指輪は見たことがありません。
Y様:ずっと探しているのですがどこに行っても見つからなくて・・・
一成:ご希望の龍をスケッチしてみましょうか?
Y様:お願いします。
一成:その龍はY様が着けられるのですか?
Y様:いえ、ニューヨークに住む27歳の息子の嫁にプレ
ゼントしたいのです。
一成:こんな感じの龍ですか?
Y様:だいたいそうです。頭の向きはリングに合わせてください。
一成:はい。他に特別なご希望はございますか?
Y様:目にルビーを入れてください。それで、若い女性が着けるのであまり仰々しくしないでください。頭は小さくかわいい龍にしてください。
ということで制作させていただくことになりまし
たが・・・龍のイメージですが過去に作ったもの
やデザイン集、雑誌、インターネットでイメージ
を探しましたがいい雰囲気の物がなかなか見つか
りませんでした。途方に暮れて家に帰ったその日
のこと・
家にかわいい龍がいたのです。そう、マンガ日本昔話
の龍!!これは行ける!!
この龍をイメージして制作に取りかかることにしました。
龍のような込み入ったデザインになると金属から直接削り
出す方法ではなくて、WAXという宝石加工用の「蝋」で、
龍を彫っていきます。というのはWAXは柔らかく加工し
やすいし修正も思いのままなのです。
WAXで削りだした龍がこれです。
この龍のWAXを石膏に埋めオーブンで焼きます。
そうするとなかのWAXが溶け出し、龍の形の穴が
石膏の中に出来ます。そこに溶かした金を流し込
むのです。龍のような螺旋状で込み入ったデザイ
ンは鋳造がとてもむつかしいので貴金属鋳造では
大阪でいちばんうまい洋孝工房の小林さんにお願
いしました。鋳造が出来上ったのがこのリング。
溶けた金が隅々まできっちり行き渡るように湯口
(金を流し込むための穴)が取り付けられています。
この湯口を上手に付けられるかどうかで鋳造が上手
くいくかどうかが決まるとても難しい仕事です。
上手くいかないと、そこで溶けた金属が渦を巻き
穴が空いてしまうのです。(巣といいます)湯道
を切りとり、全体を仕上げます。
繊細な龍のウロコひとつひとつ磨き上げるのはとて
も根気のいる作業です。磨き上げ、目にルビーを石留めします。
「画竜点睛を欠く」とはよく言ったものです。目にルビーを入れることによって龍がより龍らしくなりました。しかし、まだ貫禄が足りません。
そう、ヒゲがついていないのです。
ジャーン!!ヒゲを着けたら出来あがーり。
この龍の出来上がりにY様はとてもお喜びいただき
まして、本当に私も嬉しかったです。お客様の頭の
中まだ形になっていないものを形にすることはたし
かにむつかしく、ここには書いていませんがいくつ
も障害がありました。でも、お客様にご満足いただ
けるものをお作りできたとき本当にこの仕事をやっ
てて良かったなと思います。ほんとうに感謝なので
す。ありがとうございます。
この状態ではなんだか間抜けズラ
です
