新潟県中越地震  報道ドキュメント   2004/10/23発生(午後5時56分ごろ)

2004/11/08〜11/28



(中)

通じなかった防災無線  「壊滅状態」の山古志村 山村の地震対策に課題

新潟県中越地震で、約二千人の住民全員に避難指示が出た山古志村。震度6強の大地震に震源地近くで襲われ、交通や通信が途絶し“陸の孤島”に陥った。村は地震発生から約六時間も県と連絡が取れず、被害状況も把握できなかった。山古志村の「孤立」は、山村の地震対策の課題を浮き彫りにした。「二十四日午前零時すぎにやっと県庁に連絡できた」。山古志村の長島忠美村長は二十五日、県庁で知事に支援を要請した後、記者団に打ち明けた。土砂崩れで道路が至る所で寸断され、村内は行き来不能に。停電し電話も使えなくなった。固定アンテナの破損で、携帯電話もほとんど通じない。停電で暗闇に包まれた村の助けを求める声はどこにも届かなかった。県は人工衛星を使った防災行政無線を市町村との間で整備。しかし、山古志村では庁舎が激しく壊れ、防災無線は機能しなかった。県にとっては、途切れながらもつながる村長の携帯電話が被害状況をつかむ唯一の情報源だった。ほかにも自家発電施設などがない七、八町村と連絡が取れなかったことが判明し、大口弘人・県危機管理監は「電話は通じないし携帯も駄目。ただ防災無線以外でも探せば何かあるはず。手段を考えないといけない」と話した。山古志村は面積約四十平方キロ。標高二百―五百メートルの丘陵に十四の集落が点在する。「闘牛と錦鯉(ニシキゴイ)のむら」をキャッチフレーズに、豊かな自然をPRしてきた。昨年放映されたNHKの朝の連続テレビ小説「こころ」の舞台になり知名度を上げた。一年の半分近くを雪に閉ざされ、昔は「病人を運ぶこともできず、医者に来てもらうこともできず、むざむざ死んでいくのを見ているしかないことさえあった」(山古志村史)。このため隣接市町村と通じる道路は生命線で、第二次大戦をはさみ、村人だけで十四年かけて掘った隧道(ずいどう)は、ドキュメンタリー映画にもなった。長島村長は二十五日朝、ヘリコプターで初めて村全体の被災状況を見た。「壊滅状態。すべてのインフラと村人の財産がいっぺんに失われた」県道路管理課の幹部は「航空写真で見る限り、数百メートル規模の土砂崩れがあちこちにある。一カ所直すのに何十億円かかるか分からない」と復旧の先行きに表情を曇らせた。村は豪雪地帯で、本格的な復旧工事は春以降になる。避難した村人が故郷に戻れるのは、雪解け後になるかもしれない。


(下)

難航する地震断層の特定「悪さ繰り返す可能性も」 分厚い堆積層が壁に

阪神大震災をはるかに上回る加速度が記録され、直下型地震の怖さを見せつけた新潟県中越地震。では、この揺れを引き起こした活断層はどこに…。大学や学会などの多くのチームが、地震直後から被災地で調査を進めているが、“犯人”はまだ特定されていない。「地表に顔を出すことなく、今後も繰り返し悪さをする可能性がある」この地域の活断層について、東大地震研究所の佐藤比呂志教授はこう評する。調査をはばんでいるのが、新潟平野南部を覆う厚さ六キロもの分厚い堆積(たいせき)層だ。起伏に富んだ日本列島の中でも特徴的な地形が、今回の震源域一帯にはある。細長く盛り上がった丘陵が波板のように連なる「活褶曲(しゅうきょく)帯」がそれだ。衛星写真ではナマコが数匹並んだように見えるこの一帯の下で、何が起きたのだろうか。佐藤教授によると、ここでは二千万―千七百万年前、地球を殻のように覆うプレート(岩板)が東西方向から引っ張られた影響で巨大なくぼ地ができた。そこに積もったのが現在の堆積層。五百万―三百万年前になると、今度は岩板が逆に動き、堆積層は両側から押し縮められて活褶曲となった。いわば、地表にしわがよるこの過程で、堆積層やその下の岩板にできた無数の“傷”が活断層だ。「堆積層がこれだけ厚いと、断層が動いても吸収されてしまう。地表に断層が現れなくても不思議はない」と佐藤教授。二十四日に現地調査をしたが、活断層が動いた証拠は発見できなかった。別のグループが、震源近くの小平尾(おびろう)断層で隆起などを見つけたが、ごくかすかなもので、地震断層とはまだ断定されていない。堆積層は地球の歴史からみればまだ若く、完全な岩にはなっていない軟弱な地盤。規模が小さな地震でも揺れを増幅しやすいとされる。地震だけではない。堆積層は手でつぶせるほどの軟らかさで、水分も含みやすい。産業技術総合研究所活断層研究センターの粟田泰夫・研究チーム長は「被害拡大を招いた地滑り多発の大きな原因にもなっている」。余震の発生分布からは、新潟県中越地震の影響で他の断層帯が活動を始める兆候はみられない。ただ、佐藤教授は「数十年のスケールで見れば、関連してくる可能性はある。従来の評価法では、今回のような地震を生む活断層の特定は難しい。新しい方法が必要になるかもしれない」と指摘している。


■報道に見る新潟県中越地震■

小千谷市で震度3

二十八日午後二時三分ごろ、新潟県中越地方で地震があった。気象庁の観測によると、震源地は新潟県中越地方、震源の深さは約一〇キロ。マグニチュード(M)は3・7と推定される。各地の震度は次の通り。震度3=小千谷、小国(新潟)▽震度2=川口、堀之内、広神村(新潟)▽震度1=長岡(新潟)
11/28

土砂ダム決壊想定し訓練 芋川下流の竜光地区

新潟県中越地震で山古志村などの芋川流域にできた土砂崩れダムのため、土石流の危険がある魚沼市(旧堀之内町)の竜光地区で二十八日、約百世帯の全住民が参加して避難訓練が行われた。上流の山古志村東竹沢地区にある土砂ダムが決壊し、土石流を感知するセンサーのワイヤが切れたとの想定。午前十時にサイレンが鳴り、川沿いの回転灯が作動すると、子どもたちやつえを突いたお年寄りらが雨の中を、指定された三カ所の高台に歩いて集合した。手押し車を押しながら避難した女性(90)は「息子に手伝ってもらって坂を上がってきたが、一人では骨が折れる」と話した。「サイレンが聞こえにくかった」と心配する人もいた。土砂ダムが決壊した場合、約十五分で竜光地区に土石流が到達するとされ、訓練では住民が時間内に避難できるか確かめ、避難場所が適切かどうか確認した。
11/28

ボランティア窓口と交通

新潟県中越地震の救援ボランティア、義援金の受付問い合わせ先とアクセス状況は次の通り。【ボランティア窓口】新潟県災害救援ボランティア本部025(281)5527▽長岡市0258(33)6000▽小千谷市0258(81)6252▽川口町080(5098)6186 【義援金】新潟県出納局管理課025(280)5484▽日本赤十字社本社03(3437)7081▽新潟県共同募金会025(281)5532 【鉄道】信越線は二十九日から、上越新幹線は十二月二十八日から運転再開予定。運転見合わせは次の区間(二十七日午後六時現在)上越新幹線越後湯沢―長岡▽上越線小出―宮内▽信越線柏崎―長岡▽飯山線十日町―越後川口
11/27

堤防、護岸被害127カ所 刈谷田川などで修復工事

新潟県中越地震で河川の堤防や護岸に入った亀裂が百二十七カ所に上ることが、二十七日までの県の調べで分かった。堤防本体は土のため、強い余震が続いてひびが入ったり、亀裂が広がった。豪雨や雪解けによる増水に備え、修復工事を急いでいる。県河川管理課によると、最も被害が大きかったのは中之島町と見附市の境を流れる刈谷田川で、七月の集中豪雨の際に決壊した場所から約一・五―三キロ上流部分の両岸。堤防上部に幅数十センチ、深さ数メートル規模の亀裂が複数入り、一部が崩れ落ちた場所もあった。当面は雨水が浸透しないようシートで保護しているが、堤防本体の土が緩んでいるため、亀裂が入った部分は堤防を丸ごと取り除き、造り直す工事が必要。雪解けで川の水量が増すまでに、作業を終えなければならないという。上越新幹線の脱線現場に近い長岡市の太田川や、越路町の渋海川でも堤防にひびが見つかったが規模が小さく、県は改修工事を終えた。県河川管理課の担当者は「余震で新たにできたり、広がった亀裂が相当あるとみている。余震のたびに被害調査をやり直したため、現場の精神的なダメージは大きかった」と話した。刈谷田川流域では、堤防近くの畑などで地面から水が噴き出す液状化現象が確認された。県はかつて川が流れていた河道の跡とみており、民家に近い部分の堤防を補強するなど、対策を検討している。
11/27

「自分よりムラが心配」 故郷思う若者たち

新潟県中越地震では、高齢化が進む中山間地で大きな被害が出た。被災者にはお年寄りの姿が目立つが、二十代の若者たちも避難生活を強いられ、心に傷を負った。それでも若者たちは「まずはムラのことが心配」と故郷に思いを寄せている。山古志村の畜産業関克史さん(23)は、闘牛三頭を失った。約七十頭いた肉牛も半数近く死んだ。父親が心労で倒れて入院したため、長岡市の避難所から魚沼市の牛舎に毎日通い、預けた牛の世話を一人でしている。闘牛を復活させるのが、関さんの現在の夢。「村の人は闘牛が好き。二年間仮設住宅で暮らしたら山古志に戻り、また闘牛を飼ってみんなを元気づけたい」と話す。一部で避難勧告が続く長岡市の太田地区出身で、現在は就職して柏崎市に住む諏訪智子さん(23)は実家が全壊した。毎週末、長岡市の避難所に通い、仮設住宅への入居を待つ両親を支えている。「自分の家がなくなってしまった」という喪失感に襲われるが「人がいて、ムラがあるのが大事」と話す。太田地区の家が半壊した会社員中村匡孝さん(24)も避難所で「自分のことより、地域が心配。わたしたちはいつかムラを出るかもしれないが、親の世代より上の人は山を捨てられない」とお年寄りを思いやった。地震発生の日、道路が寸断された同地区の自宅まで、約十二キロ歩いて戻ったという会社員田中敬介さん(24)は、避難生活が続く中で「帰りたい。けれど、地震や土砂崩れは怖い」と複雑な心境を明らかにした。
11/27

堤防、護岸被害127カ所 刈谷田川などで修復工事

新潟県中越地震で河川の堤防や護岸に入った亀裂が百二十七カ所に上ることが、二十七日までの県の調べで分かった。堤防本体は土のため、強い余震が続いてひびが入ったり、亀裂が広がった。豪雨や雪解けによる増水に備え、修復工事を急いでいる。県河川管理課によると、最も被害が大きかったのは中之島町と見附市の境を流れる刈谷田川で、七月の集中豪雨の際に決壊した場所から約一・五―三キロ上流部分の両岸。堤防上部に幅数十センチ、深さ数メートル規模の亀裂が複数入り、一部が崩れ落ちた場所もあった。当面は雨水が浸透しないようシートで保護しているが、堤防本体の土が緩んでいるため、亀裂が入った部分は堤防を丸ごと取り除き、造り直す工事が必要。雪解けで川の水量が増すまでに、作業を終えなければならないという。上越新幹線の脱線現場に近い長岡市の太田川や、越路町の渋海川でも堤防にひびが見つかったが規模が小さく、県は改修工事を終えた。県河川管理課の担当者は「余震で新たにできたり、広がった亀裂が相当あるとみている。余震のたびに被害調査をやり直したため、現場の精神的なダメージは大きかった」と話した。刈谷田川流域では、堤防近くの畑などで地面から水が噴き出す液状化現象が確認された。県はかつて川が流れていた河道の跡とみており、民家に近い部分の堤防を補強するなど、対策を検討している。
11/27

土砂ダム検討委が会合

新潟県中越地震で山古志村と小千谷市の芋川にできた土砂崩れダム問題で、国土交通省の対策検討委員会(委員長・丸井英明(まるい・ひであき)新潟大教授)の第二回会合が二十六日、同県湯沢町で開かれ、流域の恒久対策を協議した。土砂の量が多く、決壊すれば土石流が発生する恐れがある東竹沢地区と寺野地区の対策を中心に協議。冒頭、国交省湯沢砂防事務所の担当者は「地域づくりと一体となった計画をお願いしたい」と述べた。土砂ダムは芋川流域の五カ所にあり、山古志村の家屋を水没させたほか、土石流の危険性が指摘されている。
11/26

被災男性に点訳新聞 点字図書館が週1回郵送

情報弱者にも新聞を―。新潟県点字図書館(新潟市)が、地震で避難生活をしている山古志村の目と耳が不自由な男性に、地元紙の新潟日報の記事を点訳して週一回届けている。男性は「図書館の点字記事は地元の情報が多く、地震のニュースを自分で読むことができるので良かった」と通訳介助者を通じて述べた。男性が避難した長岡市内の施設にいたボランティアから「目も耳も不自由な方がいる。点字で書かれ、今の状況が分かる新聞記事のようなものはないか」と問い合わせを受け、点字図書館が週一回、山古志村の記事を中心に点訳することにした。点字図書館の主事浅野歩(あさの・あゆみ)さん(30)は「今回の地震では役立てることがなかなかなかったので、喜んでもらえてうれしい」と話す。ボランティアで男性の体調などを週二回、確認している通訳介助者の女性(51)は「目と耳が不自由な人は社会の動きを把握しづらいが、点字記事はニュースが集約され、細かいことも分かる」と図書館の配慮を喜んでいる。
11/26

地震に負けず元気です 新潟県がスキー場PR

新潟県中越地震で観光業に深刻な影響が出ている中、県は二十六日までに、スキーシーズン対策を始めた。大半のスキー場は地震の被害がなく、十二月のオープンを予定。近年のスキー、スノーボード客減少に歯止めをかけ、風評被害を防ぐため「新潟のスキー場は今年も元気です」とPRする。県によると、昨年十二月から今年三月にかけてのスキー場利用者は約七百七十六万人。前年冬比で約11%減、一九九二―九三年のピーク時に比べると約51%減少した。県はスキー客対策として、二〇〇四年度予算に千三百五十万円を計上。新幹線が乗り入れ交通の便が良い「湯沢・塩沢」、雪質が良く温泉が多い「妙高・信越」など、地域の特長を生かしたPRを展開する。首都圏ではJR各線の中づり広告を使うほか、JR上野駅などに特設ブースを設置し、ポスターやチラシでアピール。関西ではJR大阪駅近くの地下街で山小屋をイメージしたブースを設け、十二月六、七日にイベントを開く。地震で脱線した上越新幹線は十二月二十八日にも全線で開通する見通しだが、運行本数は通常よりも少なくなる。スキーを含めた観光業への影響は避けられず、県観光振興課は「スキー場を訪れてもらうことが、被災地の支援になる」としている。
11/26

ニシキゴイ施設に9割補助 「復興に不可欠」と農水省

新潟県中越地震で打撃を受けたニシキゴイ養殖施設について、農水省は二十五日、激甚災害法をフル活用し復旧費用の九割を補助することを決めた。九割補助は一九七九年の豪雨災害で岩手県や宮城県のノリ、カキ養殖施設に実施して以来。同省は「ニシキゴイ発祥の地であり、地域の復興に養殖業は欠かせない」としている。ニシキゴイは春先に屋外の養殖池で稚魚を育て、十月下旬に出荷。一部は屋内の越冬池でさらに成長させ、翌年以降の出荷に備える。地震が起きたのは出荷シーズンの真っ最中だった。補助対象は養殖池、越冬池と関連設備で、新潟県の推計では被害額は四十四億三千万円。共同養殖施設や死んだコイの補償は含まれない。激甚災害法では、水産物の養殖施設に被害が出た場合、復旧費用の九割を上限に国が補助する。七八年の豪雨災害では、新潟県内のニシキゴイ施設復旧のため六割を補助した例がある。
11/25

震度不明地点は明示へ 「7」の情報遅れ問題で

気象庁の長坂昂一(ながさか・こういち)長官は二十五日の定例記者会見で、新潟県中越地震の際に震度7のデータが直後に入電しなかった問題について「未入電をゼロにするのが望ましいが、難しい問題もある。未入電地点があった場合には、今まで以上にはっきりと情報に明示する必要があると思う」と話した。気象庁によると、川口町の震度計は新潟県が設置した。通信回線の不通などによりデータが十月二十三日の本震直後に入電せず、三十日になって震度7だったことが判明した。長坂長官は、余震発生確率の表現方法についても「数字で伝える現在の方法が良いのかどうか考えたい」と、地震情報の在り方を検討することを明らかにした。
11/25

12月11日から営業 ガーラ湯沢行き新幹線

JR東日本は二十五日、スキーシーズン中に運行するガーラ湯沢駅行きの上越新幹線を、十二月十一日から営業すると発表した。新潟県中越地震の復旧作業で、上越新幹線は越後湯沢―長岡間の運転を十二月二十七日まで見合わせるが、東京―ガーラ湯沢は予定通り一日十一往復運行する。また在来の信越線が二十九日、全線で運転再開するため、運休していた夜行列車トワイライトエクスプレス(大阪―札幌)、日本海(大阪―函館)、きたぐに(大阪―新潟)も運行を再開する。
11/25

関係省庁が山古志村視察

新潟県中越地震で政府の山古志村復旧・復興支援関係省庁連絡会議のメンバーが二十五日、山古志村を視察、村の担当者らと意見交換した。加地隆治(かち・たかはる)内閣府審議官は「山崩れや養鯉(ようり)池被害など地盤災害の実態をじかに見ることができた。要望や意見は、復旧・復興支援プログラムに反映させたい」と述べた。村は積雪期の雪下ろしや融雪期の二次災害防止策などへの支援を要望。長島忠美(ながしま・ただよし)村長は「意見を受け止めてくれ感謝したい」と話していた。
11/25

冬休み短縮して授業も 被災の小千谷市で校長会議

新潟県小千谷市で二十五日、市立小中学校十九校の校長を集めて臨時校長会議が開かれた。一部の学校は、地震による二週間の休校で減った授業時間数を確保するため、冬休みを短縮し、振替授業を行いたいとの意向を示した。市教育委員会は、冬休み中の振替授業のほか、行事の縮小、平日の六時間授業化などを提案。「保護者や子どもに十分説明した上で、各校で工夫して対応してほしい」と要望した。学校側は、小千谷中学が「一、二年生はなんとか授業時間を確保できるが、三年生は無理。振替授業が必要」とするなど、小中とも高学年の授業時間数の確保が難しいとの声が多かった。校長らは児童や生徒の現状について「体育館が使えず運動することに飢えている」「疲れからか体調不良を訴える子供が増えてきた」と報告。「冬に向けて通学路の街灯の整備を進めてほしい」などと要望した。また、地震の体験をつづった文集を作成している東小千谷中の例など、地震の体験を教育に取り入れようとしていることも報告された。
11/25

恩返しと、全世帯から募金 北海道奥尻町から新潟へ

北海道南西沖地震で被災した北海道奥尻町が二十五日、町のほぼ全世帯から集めた計三百七十四万五千円の新潟県中越地震義援金を、新潟県庁の災害対策本部に送った。同町の町内会連合会によると、三十二ある町内会の担当者が一軒ごとに回って義援金を集めた。コメの収穫期と重なり時間がかかったが、一人暮らしの高齢者世帯などを除き、町の約千七百世帯の九割以上から集まったという。同町は一九九三年の北海道南西沖地震で、死者・行方不明者百九十八人と大きな被害を受けた。この際、全国から集まった約百九十億円の義援金が、復興の大きな助けとなった。連合会の可香谷正二(かがや・まさじ)会長(67)は「奥尻が震災の後、全国から受けた支援に対し、わずかでも恩返しになれば」と話している。奥尻町は十月下旬、町予算から百万円を寄付していた。町の職員組合も近く、百万円を寄付する予定。
11/25

失った授業、どう回復 小千谷で臨時校長会議

新潟県小千谷市で二十五日、市立小中学校十九校の校長を集めて臨時校長会議が開かれ、各校の復旧の現状や休校によって減った授業時間数の確保方法について話し合った。市教委側は、二週間の休校によって減った授業時間数の確保について「冬休み中の振替授業や行事の縮小、平日の六時間授業化など各校で工夫して対応してほしい」と要望した。これに対し各校長は、児童や生徒の現状について「体育館が使えず運動することに飢えている」「疲れからか体調不良を訴える子供が増えてきた」と報告、「冬に向けて通学路の街灯の整備を進めてほしい」などと要望した。授業時間数の確保について小千谷中学が「一、二年生はなんとか確保できるが、三年生は無理。冬休み中の振替授業を進める必要がある」とするなど、小中とも高学年の授業時間数の確保が難しいとの声が多かった。一方、地震の体験をつづった文集を作成している東小千谷中の例など、地震の体験を教育に取り入れようとしている学校があることも報告された。
11/25

1万3千人失業の想定も 中越地震で日本政策投資銀

新潟県中越地震で、中越地域の製造業の平均稼働率が仮に10%下落した場合、年間約一万三千人が失業するとの試算結果を日本政策投資銀行新潟支店が二十五日、明らかにした。また同支店は、脱線した上越新幹線の運休による影響も分析。越後湯沢―長岡間の運休期間が地震発生から十二月末までの二カ月間とした場合、移動時間が増えることによる経済損失が約二十九億円に上り、観光客による消費が約十二億円減少すると計算した。新潟県が十一月中旬、被災地の製造業二百十七社を対象に実施したアンケートでは、地震前の操業水準に戻っていないとした回答が29%あり、うち六割が回復は十二月以降になるとの見通しを示している。同支店は県の調査結果を踏まえ、中越地域の産業構造を示した指標「産業連関表」をもとに分析。製造業の稼働率が10%下がり、年間生産額も10%減少した場合、原材料の調達や雇用されている人の消費まで影響が広がり、サービス業や商業、農林水産業などを含めた生産額が計二千二十六億円減少するとした。この場合、雇用の機会を失う人は製造業だけで八千七百人、その他の産業を含めると一万三千人に上ると試算している。稼働率の下落が1%であっても千三百人が失業するという。同支店は「中越地域は自動車部品や電気機械部品の大規模な工場があり、製造業など第二次産業に就業する人の比率が高い。早期に回復しないとほかの産業に波及して地域経済は深刻なダメージを受ける」としている。
11/25

新潟県魚沼市で震度3

二十五日午前二時六分ごろ、新潟県の魚沼市(旧広神村)で震度3の地震があった。気象庁によると、震源地は新潟県中越地方で、震源の深さは約一〇キロ。同地方で震度3以上を記録したのは、十九日以来。
11/25

激甚災害26日の閣議で決定 中越地震、異例の早期指定

内閣府の柴田高博(しばた・たかひろ)政策統括官は二十五日午前の参院国土交通委員会で、新潟県中越地震と台風23号を二十六日の閣議で、激甚災害に指定する方針を明らかにした。道路や河川など公共土木施設や、農業関連施設の復旧への国の補助率をかさ上げする。被災地の強い要請で、発生から約一カ月後と異例の早期指定となる。政府によると中越地震の被害査定額は、公共土木施設や公立学校などが千七百七十億四千万円、農地や農業用施設、林道は三百七十五億七千万円。兵庫県や京都府などで被害が出た台風23号は、公共施設などが二千二百三十六億五千万円、農地などが五百三十九億五千万円。激甚災害の指定は通常、地元自治体が被害額を申請し、政府に要望するが、今回は特例的に政府が見積もった。柴田統括官は委員会で「二つとも大きな災害で、自治体は応急復旧に追われ、被害額の見積もりをする状況ではない。村田吉隆(むらた・よしたか)防災担当相の指示で国土交通、農水省の職員が現地に出掛けて被害を把握した」と述べた。
11/25

新幹線橋脚の補修工事公開 JR、鋼板を巻き付け

新潟県中越地震で不通になった上越新幹線越後湯沢―長岡間の復旧工事を進めるJR東日本は二十五日、損傷した浦佐―長岡間の魚野川橋りょう(川口町)の橋脚に鋼板を巻き付ける補修作業を報道陣に公開した。JRによると、補修作業は今月上旬から開始。魚野川に仮設の橋を設置して、表面のコンクリートがはがれ、鉄筋の一部が曲がった橋脚二本にセメントを流し込むなどの作業を続けてきた。この日は、直径約六・五メートルの橋脚に厚さ一センチ前後の鋼板を巻き付けて補修。さらに鉄筋コンクリートを巻き付けて完成させる。JRは十二月中旬までに、ほかの高架橋の橋脚と合わせ約五十本を補修。十二月二十八日の全線運転再開を目指す。
11/25

地震で窓割れ無断侵入露見 建造物侵入で男を逮捕

新潟県十日町市内の空き家に、地震発生まで無断で生活していたとして、十日町署は二十四日、建造物侵入の疑いで、住所不定、無職岩田建(いわた・けん)容疑者(30)を逮捕した。地震で窓ガラスが割れ、勝手に生活していたのが見つかったという。調べでは、岩田容疑者は八月中旬ごろから十月二十三日にかけ、十日町市の男性(58)が管理する同市辰甲(たつこう)の木造二階建て空き家に無断で侵入、生活していた疑い。窓が割れたため、室内にごみや生活用品が散乱しているのを近所の住民が発見。男性が「誰かが生活していたようだ」と被害届を出していた。岩田容疑者は地震後、避難所などで暮らしていた。「借金取り立てから逃げていた」と話しているという。
11/24

避難所で痴漢、男を逮捕

新潟県中越地震の避難所で、ボランティア女性の体に触るなどしたとして、県警小千谷署は二十四日までに、暴行容疑で東京都日野市新町一丁目の自称カメラマン鈴木隆(すずき・たかし)容疑者(53)を逮捕した。「たまたま動かした手が当たってしまった」と否認しているという。調べでは、鈴木容疑者は九日午後四時ごろ、小千谷市内の避難所でボランティア活動をしていた三十代の女性の体を触るなどした疑い。女性の知人が注意したがやめなかったという。女性が二十三日に被害届を提出。同署は「悪質な行為で暴行に当たる」と判断した。鈴木容疑者は避難所に来た目的を「趣味で写真集を出すための写真を撮るため」と供述している。
11/24

新たなわが家へ入居続々 「阪神」被災地から食器

新潟県中越地震の被災者入居が二十四日朝から始まった長岡市の仮設住宅では、午後になって軽トラックやワゴン車を使い、一家総出で家財道具を運び込む人の姿が目立った。一家四人で入居する同市村松町の主婦五島比奈子(ごとう・ひなこ)さん(58)は、親せきに手伝ってもらい、新居に運び込んだ車三台分の荷物整理に追われた。高台にある五島さんの家は土台に亀裂が入り、避難勧告が解除されていない。気ばかり焦って何も手につかず、将来を考えると眠れなかった。五島さんは「この一カ月は地獄だった。やっと家族四人の暮らしに戻って、今日はゆっくり眠れそうです」と話した。敷地の一角では、阪神大震災の被災地・神戸市のNPO法人「ひまわりの夢企画」が、トラックで運んだ段ボール百箱分の食器を希望する入居者に配った。代表者は「阪神大震災の時、食器がすべて割れて多くの被災者が困った。市民に呼び掛け、家庭で眠っている未使用の食器を集めた」と説明した。
11/24

災害時の情報断絶を回避へ 新潟県中越地震で不備露呈

新潟県中越地震の発生直後に県と一部市町村との連絡が取れなかった反省から、県は二十四日までに、災害時の情報断絶を防ぐ方策づくりに乗り出す方針を固めた。来年三月までに具体的な検討に入る。七月の水害時に、市町村から住民への避難勧告が十分に伝わらなかったことから、県は消防組織や市町村と災害時の連絡方法の改善を検討していた。しかし、今回の地震で(1)県と市町村の間の連絡系統が機能しなかった(2)県出先機関による市町村支援策を事前に検討していなかった(3)県が主体的に情報収集する工夫が足りなかった―ことが新たに判明、あらためて危機管理態勢の拡充を目指すことにした。県と市町村の間には人工衛星を経由する防災行政無線が整備されていたが、地震では庁舎が被害を受けたり、非常用電源がなかったため通信できなかった町村が続出した。山古志村は土砂崩れで孤立。有線電話に加えて携帯電話のアンテナも被害を受け、外部との連絡がほとんど取れない状態になった。震度7を記録した川口町では被害を受けた役場庁舎に立ち入れなくなり、町の被害把握が遅れ、県が川口町の惨状を認識できたのは数日後だった。このため県は、衛星携帯電話の配備や電源の確保などあらゆる機器の組み合わせを検討し、代替連絡手段を複数確保したい考えだ。
11/24

新潟県中越地震で特措法を 泉田知事が参院で要望

新潟県中越地震の対策をめぐる参院災害対策特別委員会が二十四日午前、開かれた。同県の泉田裕彦知事は「都市の地震被害は助け、中山間地域の被害は助けられないのはおかしい」と指摘、阪神大震災に準じた国の幅広い財政措置を求める特別措置法の制定をあらためて要望した。委員会で、泉田知事は「被害は三兆円で、新潟県の財政規模の二・八倍という深刻な状況。財政基盤が弱い市町村で起きている。山古志村ではコイや牛など財産を放棄して、着の身着のままで避難した。命があれば財産は何とかなることを政治の力で示してほしい」と涙ながらに訴えた。被災者生活再建支援法などの住宅再建策では「住宅を壊すのにお金は出るが、再建には使えない。実際に役立たず、公務員の仕事を増やしているだけだ」と批判、実効性のある再建策が必要と主張した。特措法の制定をめぐっては、長岡市なども自民党に要望、同党も検討を約束している。一方、政府の村田吉隆防災担当相はこれまで、具体的な内容を聞いた上で必要性を含め検討するとの姿勢を示している。
11/24

仮設住宅への入居始まる 新潟県長岡市と小国町で 阪神経験に「孤独死」防げ

新潟県中越地震で被災した自治体のトップを切り、長岡市と小国町で二十四日、完成した仮設住宅計二百十五戸への被災者の入居が始まった。新潟県内ではこのほか、両市町を含む十三市町村で計約三千二百戸の仮設住宅を建設中。大半が十二月中旬までに完成する見通しで、厳しい冬を前に、避難所などからの被災者の引っ越しが今後、本格化する。阪神大震災では、一人暮らしの高齢者が仮設住宅で亡くなる「孤独死」が相次ぎ、社会問題化した。このため、各自治体は(1)できるだけ住み慣れたコミュニティーに近い場所に用地を選定(2)単身高齢者だけを並べない(3)敷地内に介護施設を設置(4)高齢者や障害者向けに消防に連絡できる緊急通報システムの配備―などの方策をとっている。また、全国有数の豪雪地帯であることから、住宅は二メートルの積雪にも対応できる構造とし、壁や床の断熱性も向上させた。エアコンや暖房便座も設置した。災害救助法で仮設住宅の入居期間は最長二年と定められている。二十四日までに入居が可能になったのは、長岡市が操車場跡地に建設した百九十戸と、小国町が保育園跡地などに建設した二十五戸。二戸を使用する家族もおり、それぞれ百七十世帯、二十二世帯が入居を予定している。仮設住宅の数が多い自治体は長岡市や小千谷市で、それぞれ八百戸を超える。全村避難した山古志村は長岡市内の計三カ所に約六百戸を完成させる予定。県内では依然、約六千三百人が体育館などの避難所に身を寄せている。
11/24

雪解け後の被害で認定 避難指示・勧告継続の地域

新潟県中越地震で県は二十三日、避難指示・勧告が今後も続き、通行止めの影響で雪下ろしができない場合は家屋調査について、雪解け後の結果を採用することを国と協議して決め、市町村に伝えた。県によると、被災者生活再建支援法に基づく支援金を配分するための家屋調査が進むが「大規模半壊」「半壊」だった家屋が積雪の重みで「全壊」に変わる可能性がある。通常行う雪下ろしができないのは「地震被害による通行止めが原因」と解釈する。また内閣府は二十三日までに、同支援法の適用をめぐり、同じ家に住む家族でも生計を別にする場合は別々の世帯として扱うことを県に伝えた。県によると、同居する家族の扱いはこれまで「同一世帯」「別の世帯」と解釈が整理されないまま運用されている。別々の世帯と扱うことで受け取れる支援金が倍増するため、過去の災害での被災者への適用について論議を呼びそうだ。
11/23

長岡市で一部避難解除

新潟県長岡市は二十三日、がけ崩れの恐れがなくなったなどとして、七地区百七十一世帯、五百五十三人への避難勧告を解除した。同市で避難勧告が続いているのは二百一世帯、六百一人。県は、カモの猟場となる河川敷に避難している人がいるため、各地の猟友会に対し、被害の大きい地区では狩猟を自粛するよう求めた。気象庁によると、午前二時四十三分ごろ、魚沼市で震度2を観測し、十月二十三日の本震以来の有感地震は八百回を超えた。県は二十四、二十五の両日、被災地の商店から被害状況や再開見通しを聞き取り調査する。県の支援策を決めるためで、対象は小千谷市の四商店街二百五十八店と川口町の五十一店。二十三日午前九時現在の避難者数は約六千六百人。
11/23

犠牲者に別れと祈り 被災の各地で追悼行事

「寂しいけど、さようなら」。新潟県中越地震から一カ月が過ぎた二十三日、被災地では遺族や友人、同級生らがそれぞれの思いを胸に、犠牲となった四十人に別れを告げ、祈りをささげた。小千谷市の合同慰霊祭では祭壇に幼なじみの星野有希君(11)、星野一輝君(12)、星野和美さん(11)の遺影が仲良く並んだ。市立東山小学校の同級生二十三人が祭壇の前に出て、六年の星野あずささん(12)がお別れの言葉を読んだ。「和美ちゃん、かっくん、くぼちゃん(有希君の愛称)。心配しなくてもわたしたちは避難所で元気にしているよ。寂しいけどお別れするね、さようなら」。涙声になった。有希君の父剛さん(48)は「皆さまのおかげでようやく悲しみに負けず生きていく決心がつきました。必ずや再建することをお誓いする」とあいさつ。地震で負傷して車いすの母圭子さん(49)は献花の際に有希君の名を呼び、泣き崩れた。運命を分けた午後五時五十六分。震度7を記録した川口町の災害対策本部では、星野和久(ほしの・かずひさ)町長が「あの日の夜もこんな月の明るい星空でした」と防災無線で切り出した。「数多くの力添えをいただいて、きょうまで頑張ってこられた。もう少しの辛抱です」と一分間の黙とうの呼び掛け。避難所の田麦山小体育館では被災者が一斉に目を閉じた。幼い娘を抱いて一緒に祈る母親。正座し目をつぶって手を合わせる女性。地震のニュースを伝えるテレビの音だけが館内に響いた。約三十人が避難している木沢小学校では涙ぐむ人もいたが、黙とうの一分が過ぎると「さ、頑張るか」と男性の声が上がった。
11/23

しめやかに合同慰霊祭 仮設住宅23日入居開始 新潟県中越地震1カ月

死者四十人、負傷者二千八百五十九人を出した新潟県中越地震から丸一カ月の二十三日、小千谷市では遺族や知事らが出席して合同慰霊祭が営まれた。最大震度7の地震が発生した午後五時五十六分には、被災地の避難所や市役所で住民らが黙とう、犠牲者の冥福を祈った。 長岡市と小国町では仮設住宅が一部完成、被災地で最も早い二十四日に入居が始まる。土砂崩れダムの下流にある川口町小高地区の二十五世帯百六人は復興をあきらめ、全員が集団移転すると町長に正式に伝え、支援を要請した。長岡市では百七十世帯の避難勧告が解除された。小千谷市の斎場でしめやかに営まれた合同慰霊祭には、遺族や泉田裕彦知事、関広一市長や市民ら約六百人が参列した。同市で亡くなった十二人の遺影を前に全員で一分間の黙とうをささげた後、泉田知事は追悼の辞で「郷土の復興を成し遂げることが、亡くなられた方に報いる唯一の方法」と述べた。地震で倒壊した家屋の下敷きになって死亡した同市塩谷の星野有希君(11)ら男女三人の児童が通っていた市立東山小六年の星野あずささん(12)は「私たちは避難所で元気にしているよ」と報告。祭壇の前に並んだ五、六年生約二十人とともに、仲良しだった三人に別れを告げた。有希君の父剛さん(48)が遺族を代表して「悲しみに負けず生きていく」と復興への決意を述べ、市民らが献花した。
11/23

仮設住宅、準備OK 長岡市の190戸が完成

新潟県長岡市千歳一丁目の長岡操車場跡地に建設中だった仮設住宅のうち百九十戸が二十三日、完成した。百七十世帯の被災者に二十四日、鍵が渡され、入居が始まる。完了検査は二十三日午前十時から開始。県職員が各戸に入り、電気や水道を点検し、戸や窓の立て付け具合などを入念にチェックした。支援物資から毛布やせっけんなど、当面の生活用品も運び込んだ。完成した仮設住宅は1DK、2DK、3Kの三種類で、二戸に分かれて入居する家族もいる。全戸にエアコンと給湯器付きユニットバスが設置され、ケーブルテレビで地域情報番組を見ることもできる。建設に当たった男性作業員(45)は「雪が降る前に完成してよかった。避難所の人には早く暖かい仮設住宅に入ってほしい」と話した。十二月上旬までに、県内の十三市町村で、三千五百戸近い仮設住宅が完成する予定。
11/23

避難所になお6800人 冬控え、仮設住宅建設進む 新潟中越地震23日で1カ月

新潟県中越地震は二十三日で発生から一カ月。死者は四十人、重軽傷者は約二千八百六十人に上った。冬を前に仮設住宅建設や住宅再建が進むが、今も約六千八百人が避難所などで暮らす。脱線した上越新幹線や高速道路の被害に加え、土砂崩れや農林水産業など中山間地特有の被害が大きく、県は被害総額を阪神大震災の三割に当たる三兆円程度と試算した。全国から延べ約五万人のボランティアが現地に入り、被災者支援に汗を流した。死亡した四十人は、倒壊家屋の下敷きになるなど地震が直接原因になったケースだけでなく、避難所生活によるストレスや、車内生活が原因のエコノミークラス症候群によるケースが相次いだ。十二人が亡くなった小千谷市は二十三日、合同慰霊祭を開く。強い余震が続いた影響で、避難所などで生活する住民は発生から三日後の十月二十六日、十万三千人を超えた。ライフラインの復旧や住宅の応急危険度判定の進行に合わせて同二十九日以降は減少を続け、二十二日朝には約六千八百人(県まとめ)となった。被災地が冬を迎えるため、県は住宅確保を急ぐ。仮設住宅は十三市町村で約三千五百戸を建設中。長岡市と小国町の一部で二十四日に入居が始まるほか、十二月中旬までには入居がすべて完了する見通し。ライフラインは多くの地域で復旧したが、山古志村など一部地域は見通しがつかず、深刻な状態。電気は地震発生後、約二十七万八千戸が停電したが順次復旧し、計約千六百五十戸を残すだけとなった。都市ガスは最大で約五万六千戸だった供給停止世帯が約三千八百戸に減少。水道は地震直後に約十二万戸が断水し、約二千八十戸は供給が止まったままとなっている。地震で脱線した上越新幹線は十二月二十八日にも全線で運転を再開する見込みとなった。しかしインフラが大きな打撃を受け、農林水産業や商工業など被害は激しい。
11/22

M5以上の余震は25回 気象庁「まだ注意必要」

気象庁は二十二日、新潟県中越地震で発生したマグニチュード(M)5以上の大きな余震は計二十五回に上ったことを明らかにした。同庁にデータがある一九二五年以降、震源の深さが三〇キロより浅い内陸地震の中では最多。今後の余震について同庁は「所によって震度5弱―5強になるM5クラスの余震が発生する可能性は、十二月半ばごろまでには、かなり低くなるとみられる」と指摘。M4クラス(所によって震度4、地盤が悪い所では震度5弱)は、その後も起こる可能性があり、引き続き警戒が必要としている。気象庁によると、過去の内陸地震でM5以上の余震が多かったのは、一九二七年の北丹後地震が十四回、四三年の鳥取地震と四五年の三河地震が十八回、九五年の阪神大震災は六回だった。本震から一カ月以上経過してからM5以上の余震が発生したのは、北丹後地震、鳥取地震、阪神大震災と二五年の北但馬地震の四例という。中越地震の余震活動は他の地震に比べ活発で、十月二十三日に百六十四回起きた有感地震は、静穏と活発を繰り返しながら推移している。同庁の山本雅博地震津波監視課長は「(十二月半ば以降についても)M5クラスの発生を否定するものではなく、余震はまだ長期間続くとみられる。復旧活動には十分な安全確保をしてほしい」としている。二十二日午後から三日以内にM5・5(所によって震度5強)以上の余震が発生する確率は10%、M5(同5弱)以上は20%と推定している。
11/22

川口町で保育園が再開 避難者は6800人

新潟県中越地震で休園していた川口町の二つの保育園が二十二日、地震から約一カ月ぶりに保育を再開した。給食が提供できないため、午前中だけの保育となる。同町には二保育園のほかに分園があるが、再開のめどは立っていない。西川口保育園には、地震前の三分の二に当たる約三十人の園児が登園。親となかなか別れようとしなかったり、保育士から離れなかったりと、久しぶりの保育園に慣れない様子だった。田中京子(たなか・きょうこ)園長は「不安を抱える子供たちの気持ちを大事に接していきたい」と話していた。二十二日午前九時現在の避難者数は約六千八百人。
11/22

小千谷の給食センター再開 「カレーで体温まる」

新潟県中越地震の影響で業務を休止していた小千谷市の学校給食センターは二十二日、約一カ月ぶりに、市立中学校四校への給食配給を再開した。地震以来、各校ではパンと牛乳といった簡易給食が続いていた。二十二日のメニューは、カレーライスやヨーグルトサラダなど。東小千谷中学校には正午ごろ、給食センターのトラックが到着。配ぜん用のエレベーターが故障して使えないため、生徒が正面玄関から教室まで給食を運んだ。一年生の岡村篤志(おかむら・あつし)君(12)は「カレーはおいしいし、体が温まる。手が込んでいてうれしい」と満面の笑み。二年生の星野紗稚香(ほしの・さちか)さん(14)は「学校の中で一番楽しみな給食。バリエーションが増えてうれしい」と話した。給食センターはガス設備が地震で破損した恐れがあったが、その後の設備点検で異常のないことが判明した。ほかに、市立の中学校一校と小学校十四校は給食センターからの配給を受けず、自校で調理していた。このうち小学校四校では既に給食を再開し、中学校一校と小学校三校は二十二日から給食が復活した。
11/22

仮設住宅に介護施設併設 長岡市が独自被災者支援策

新潟県中越地震で被害を受けた長岡市の森民夫(もり・たみお)市長は二十二日、記者会見し、二十四日から入居が始まる仮設住宅の敷地内に介護施設を設けることや住宅再建に向けた貸付資金枠の新設を柱とする市独自の被災者支援策を発表した。長岡市千歳一丁目の仮設住宅の敷地内には介護施設を設置。訪問介護や通所介護のほか、訪問看護、リハビリ、配食の機能を持たせる。仮設住宅などで一人暮らしをする高齢者や障害者の部屋には、希望があれば緊急通報装置を取り付け、安全を確保する。住宅再建では、「震災復興新築資金」や「震災復興リフォーム資金」を新設。住宅新築に対する融資限度枠を従来の七百万円から一千万円に引き上げ、金利も1%引き下げる。このほか(1)養鯉(ようり)池の復旧事業への半額助成(2)商工業者への融資強化(3)被害の程度に応じて市民税や水道料金を減免、納期限延長する―など。森市長は「あっという間の一カ月だったが、応急復旧は一区切りついた。これからは本格的復興に向け強い覚悟で臨みたい」と述べた。
11/22

支払額350億円超に 新潟県中越地震で全共連

農協(JA)で保険に相当する共済事業を営む全国共済農業協同組合連合会(全共連)の、新潟県中越地震での被害に対して支払う共済金が、三百五十億円を超える見通しとなったことが二十一日、分かった。地震に対する全共連の支払額では、一九九五年の阪神大震災の千百八十八億円に次ぐ二番目の規模。国内の損害保険十九社による地震保険の支払い見込み額は計約百三十八億円で、全共連の支払い見込み額は損保合計の二・五倍強に膨れる。建物の被害を補償する全共連の建物更生共済の加入件数は、新潟県内で約五十万件。このうち約三万三千件で被害が報告された。立ち入りが禁止され被害の査定ができていない地域もあり、被害報告件数や支払額がさらに増える可能性がある。ただ、全共連は大きな自然災害が発生した場合の巨額な支払いに備えて積み立てている異常危険準備金が、今年三月末で約二兆千五百億円あり、今回の地震被害による経営への影響は限定的だ。全共連の支払額が、損保会社よりも膨らんだのは、新潟県内で被害が大きかった地域が農村部中心で農協系の共済への加入が多いため。地震の建物被害は火災保険では補償されず、別に地震保険の加入が必要となるのに対し、建物更生共済は火災などに加え地震の被害を補償していることも影響した。
11/21

タコつぼ型心筋症が続発 中越地震直後に18人診断

新潟県中越地震の発生後二、三週間に、強いストレスなどで発症すると考えられている「タコつぼ型心筋症」と診断された人が、被災地の長岡市の病院で相次いだことが二十一日、分かった。死者は確認されていないが、少なくとも五十歳以上の女性十八人が同症か疑い例と診断された。専門医は「数年分の患者が一気に出たような印象だ。地震や余震、避難生活が関係しているとみるのが妥当だ」と指摘。被災地での新たな医療課題となりそうだ。タコつぼ型心筋症は、心筋の一部がまひして収縮異常を起こし、胸の痛みや息苦しさなど、心筋梗塞(こうそく)に似た症状を起こす。超音波などの画像診断で心臓が「タコつぼ」のような形に見えることから名付けられた。立川総合病院(長岡市)の岡部正明(おかべ・まさあき)副院長によると、地震発生後二、三週間で、十二人を同症と診断した。患者はいずれも五十代以上の女性で、全員が入院し心不全の治療を受けた。例年なら患者は多くても年間十人ほどだという。長岡市の別の病院でも、疑い例を含め六人が同症と診断された。発症にはストレスが関与しているとされ、中年以降の女性に多い。安静にしていれば二、三日で症状は改善するが、心不全を起こすこともある。阪神大震災後にも一部医療機関で症例が報告され、注目された。新潟大病院第一内科の相沢義房(あいざわ・よしふさ)教授は「タコつぼ型心筋症には未解明の部分も多いが、適切な診断と治療をすれば多くの人は回復する。大災害の後にはこの病気が起きやすくなることを周知し、被災地の医療体制に生かしていくことが必要ではないか」と話している。
11/21

小千谷市が被災証明書発行 新潟中越地震の建物被害

新潟県小千谷市は二十一日、中越地震で被災した建物の被害程度を認定する被災証明書の発行を始めた。会場となった市総合産業会館「サンプラザ」には市民が詰め掛け、開始から約三十分で百九十人を受け付けた。市がまとめた建物被害は全壊六百六十二棟▽大規模半壊五十六棟▽半壊九百十八棟▽一部損壊一万棟―で、建物全体の九割が何らかの被害を受けている。被災証明書は税の減免や義援金を申請したり、民間から融資を受けたりする際に必要になる。被災者が市の認定に不服がある場合、再調査する。市は地域ごとに、二十四日まで同会場で証明書を発行。二十五日以降は市役所で対応する。
11/21

アルビレックス勝利に歓声 避難の子供がJリーグ観戦

新潟県中越地震で全村避難が続く山古志村の小中学生百十五人が二十日、新潟市の新潟スタジアムで行われたJリーグ一部アルビレックス新潟―FC東京戦に招待され、地元チームの勝利に歓声を上げた。新潟市が、避難生活を送る子供を励まそうと企画した。子供たちは首にアルビレックスの応援マフラーを巻いてスタジアム入り。選手登場の際には、ピッチに続く人工芝の両脇に並んで待ち構え、選手とタッチした。試合直前、サポーターの「がんばれ山古志」の声援がスタジアム全体に鳴り響いた。中学三年の生徒会長小川暁弥君(15)は「みんなが応援してくれているみたいで、うれしかった」。試合は四対二でアルビレックスが勝利し、「すごい」と男子生徒。帰り際に山古志小の楠原篤教頭(46)は「久しぶりに盛り上がった」と話し、女子生徒二人は「これからのことは分からないけど、一日楽しかった」と笑顔を見せた。
11/20

避難所以外にも物資配布 越後川口SAが営業再開

新潟県中越地震で長岡市は二十日、被害が大きかった六地区約一万四千世帯の住民を対象に、余った救援物資の配布を始めた。避難所で生活する住民が減り、市内の体育館に大量に保管されたまま配りきれない水や紙おむつ、衣類を減らす。日本道路公団北陸支社は、関越自動車道越後川口サービスエリア(川口町)の営業を再開。売店や軽食コーナー、ガソリンスタンドのほか、下り線のレストランが利用できる。関越自動車道は今月五日、全線で通行止めが解除された。県は、二十四日に入居が始まる長岡市千歳一丁目の仮設住宅を検査、ガス器具や電気器具などが正常に作動するかどうかを一軒一軒確認した。内閣府国民生活局は、被災地を狙った悪質商法を防ぐため、消費生活専門相談員が対応する電話相談を始めた。相談受け付けは二十三日まで。フリーダイヤル(0120)557448。JR東日本は、運休していた只見線の小出―只見間の運転を始発から再開した。
11/20

受診の4%にストレス症状 集団生活、余震が原因か 日赤救護所で被災者

新潟県中越地震で、避難所に設けられた日赤の救護所で受診した被災者のうち、4%余りが神経性胃炎などを含むストレス症状と診断されたことが二十日、日赤のまとめで分かった。風邪などの上気道感染症も40%近くに上った。救護所に派遣された医師は「ストレス症状は集団生活や余震が原因とみられ、対症療法もあるが、根本的な治療は地震が落ち着くこと。これから流行するインフルエンザにも注意が必要だ」としている。日赤は、救護所六カ所と長岡赤十字病院で十月二十四日から十一月十八日までに延べ一万三百八十三人を診察し、症状別に集計した。それによると、神経性の胃炎や胃かいようを含むストレス症状と診断された人は四百三十四人(4・2%)だった。高血圧症の六百二十五人(6・0%)、下痢や便秘の三百六十三人(3・5%)にもストレス性のものが含まれている可能性があるという。最も多かったのは上気道感染症の四千百三十三人(39・8%)で、地震による打撲やねんざ、骨折の治療を受けた人も千二百二十七人(11・8%)に上った。このほか人数は少ないが、循環器疾患(八十九人)、脳血管障害(十八人)、肺炎(十二人)の人もいた。小千谷小学校に派遣されている河本邦彦(こうもと・くにひこ)医師は「避難所で生活する被災者のストレスは大きい。話すことが何よりも大切で、過敏になっている感情を和らげることができる」と心のケアの必要性を訴えている。
11/20

川口町が被災証明発行

新潟県中越地震で震度7を観測した川口町で二十日、家屋の被害状況を認定する被災証明の発行が始まった。被災証明は「全壊」「大規模半壊」「一部損壊」などに区分され、税の減免や住宅再建などの支援措置を受ける際に必要となる。川口町では二十三日まで発行手続きを行う予定。川口町では建物被害調査の結果、住宅約千四百棟のうち、全壊が五百七十棟と全体の40%を超えたほか、大規模半壊が百十棟、半壊三百二十一棟などとなっており、被害を受けた住宅は全体の97・7%に上った。被災証明は長岡市などで既に発行されている。
11/20

中山間地の離農対策本格化 平野部の遊休水田提供も

新潟県中越地震で、県と県内の農業団体は二十日までに、山古志村や小千谷市、川口町など中山間地の稲作農家、ニシキゴイの養殖業者の離農や廃業を食い止める対策に本格的に着手する方針を決めた。農業を続けられるよう、農機具や技術などの支援策を用意。山古志村などで避難が続き、来春の作付けができなくなった場合は、長岡市など平野部の遊休水田で一、二年間暫定的に耕作できるような選択肢も提示したい考えだ。中山間地は豪雪地帯が多く、冬場の調査や復旧作業は困難。いまだに避難指示・勧告が続く地域もあり、冬を前に来年の耕作や経営再開に悲観的な声が広がってる。調査は県のプロジェクトチームが二十四日から始める。棚田などの水田や養鯉(ようり)池の被害実態を十二月上旬までに把握し、復旧が可能かどうかを個別に判定。農家や業者に実態を伝え、来年の意向を聴く方針。農水省は二〇〇五年産米の生産目標数量について、二十二日に都道府県の配分を決め、新潟県は来月下旬にも市町村への配分を固める見通し。今年の実績に基づいて山古志村などにも配分されるが、耕作できない場合はほかの市町村間で生産数量の調整が行われることになりそうだ。中越地震では、三十二市町村の水田や畑約四千カ所、計約千五百ヘクタールで崩壊や亀裂が発生するなどして約百五十六億円の被害が発生。山古志村や小千谷市など六市町村でニシキゴイ約百三十万匹が死に、約十八億七千万円の被害が明らかになっている。
11/20

復旧・復興支援会議を設置 新潟県中越地震で政府

新潟県中越地震で政府は十九日、復旧・復興支援会議(議長・林田彪内閣府副大臣)を設置した。地震の発生から約一カ月が経過したことで、これまでの応急対策から住民の生活再建や産業復興などへシフトする。支援会議は関係省庁の担当官らで構成し、初会合を二十四日に開催。応急対策を主な目的としていた非常災害対策本部は今後、必要に応じて開く。総務省消防庁によると一時、一万人を超えていた避難者は、十九日現在で約七千九百人まで減少。仮設住宅も十二月中旬にかけて相次いで完成する見通し。内閣府は「豪雪期を前に復旧を早めたい」としており、道路や水道の復旧や中小企業・地場産業の復興支援などを進める。
11/19

12月28日を目標に復旧 トンネルは壊滅的打撃

新潟県中越地震で不通となっている上越新幹線越後湯沢―長岡間について、JR東日本は十九日、十二月二十八日の全線運転再開を目標に、復旧作業を本格化したと発表した。年末年始の帰省ラッシュに間に合わせたいとしている。JR東日本は、上越新幹線浦佐―長岡間のトンネル五本の被害調査を終えたが、壊滅的な打撃を受けたという。復旧作業に着手した。再開した後も当分は浦佐―長岡間を時速百十キロと通常より遅くするため、東京―新潟間で約十五分長くかかる見込み。被害が最も大きかった魚沼トンネル(約八・六キロ)では、路盤ごと線路が隆起した個所が三カ所あり、最大二十五センチ、最長百メートルにわたり盛り上がっていた。魚沼トンネルの約二百メートル北側にある妙見トンネル(約一・五キロ)内部は、両側から押さえつけられたような圧力がかかり、二カ所で天頂部が約五十メートルにわたりひび割れ、一カ所で線路が隆起した。JR東日本は、隆起部分を削り取り、コンクリートを再注入する。さらに直径約三センチ、長さ約三メートルの鉄製ボルトを打ち込み、耐震補強する。すべてのトンネルで天井や壁のはく落やひび割れがあり、コンクリート補修し、繊維質の板を張るなどして強化する。浦佐―長岡間の高架橋柱や橋脚に、斜めに亀裂が入る「せん断」とみられる損傷ができているが、JR東日本が順次、補修工事を進める。
11/19

「まるで中越地震のよう」 球場工事で浅野宮城県知事

宮城県の浅野史郎(あさの・しろう)知事は十九日、内野席などの取り壊しが進む県営宮城球場(仙台市)の工事状況を見て「新潟(県)中越地震のようだ」などと述べた。県営宮城球場は楽天イーグルスの本拠地に決まっており、来季に向け客席拡張などのための改修工事を進めている。すでに内野席の大部分を取り壊し土砂がむき出しの状態となっている。十九日は工事の安全祈願祭が開かれ、浅野知事や三木谷浩史オーナーが出席していた。浅野知事は「私も球場に慣れ親しんできたが、新潟中越地震のようだ。取り壊しが早い」と球場の様子を被災地に例えた。記者団の「被災者に対し不謹慎ではないか」との問いに「被災者がどうこうではなく、工事現場が災害みたいな感じがしますよね」と繰り返した。さらに「新潟に例えるのは問題では」と問われると「本意ではない。そう思われるのならやめましょう。適切でなかった」とした。宮城県は昨年、三陸南地震と宮城県連続地震が起き、大きな被害が出ている。
11/19

地震で2866棟に被害 震度7の川口町

新潟県中越地震で最大の震度7を記録した川口町の建物被害調査が十九日までに終わり、全半壊などの被害が二千八百六十六棟あったことが分かった。住宅で全壊と判定されたのは五百七十棟、大規模半壊百十棟、半壊三百二十棟、一部損壊が三百五十九棟。公共施設など住宅以外の建物被害は千五百七棟。新潟県全体の建物被害は、十九日午前九時現在で約六万二千八百棟に上った。
11/19

被災者対象、なんでも相談 行政機関を一堂に集め

総務省新潟行政評価事務所は十九日、長岡市の県教職員施設「アトリウム長岡」で、行政機関を一堂に集めて新潟県中越地震の被災者からの相談に応じる「なんでも行政相談」を開いた。国税局や労働局など国の出先機関や住宅金融公庫などの特殊法人、新潟県警など十六の行政機関が参加し(1)被災者生活再建支援金の申請方法(2)納税の猶予、減免の手続き(3)被災住宅復興のための融資(4)運転免許証の有効期限延長―といった相談や問い合わせに職員が無料で応じた。農業佐藤義雄(さとう・よしお)さん(66)は「地震で自宅前の市道が盛り上がり、段差が生じて雨が流れ込んで困る」と相談。市道路管理課が対策を取る、と返事をもらった。無職井上喜一(いのうえ・きいち)さん(66)は「隣家が地震で傾いた。これから雪の重みで倒壊しないか心配で」と隣家との話し合いのアドバイスを求め「日曜日に開く弁護士相談に来て」と言われた。住宅金融公庫に相談にきた無職小島道子(こじま・みちこ)さん(59)は「地震で家が全壊したが、ローンがまだ残っている。融資を受けるかどうか迷っている」と相談していた。参加した行政機関だけで対応できない場合は、関係機関に連絡や取り次ぎを行う。今後は十日町市(十二月八日)、小千谷市(同十七日)に開設。川口町でも復興状況に応じて実施する。
11/19

年内にも全線復旧へ 上越新幹線、車両撤去終了

新潟県中越地震で、運転を見合わせていた上越新幹線越後湯沢―長岡間について、JR東日本は十九日、年内にも運行を再開し、全線で復旧する見通しを示した。地震で脱線した上越新幹線とき325号(十両編成)の現場からの撤去作業は十六日未明に終わり、車両自体は十八日未明に新潟車両基地に運ばれた。壊滅的な打撃を受けた浦佐―長岡間の五つのトンネル被害の全容も明らかになった。JR東日本はトンネル内の修復作業に着手し、復旧のめどがついたという。上越新幹線は四日から東京―越後湯沢、長岡―新潟間で運行。越後湯沢―長岡間は代行バスを一日上下計二十九本走らせている。
11/19

旅館おかみ50人支援求める 新潟中越地震で行楽客減少

新潟県中越地震発生後、温泉街や行楽地で予約のキャンセルが相次ぎ、深刻な影響が出ているとして、新潟県旅館組合に所属する旅館のおかみ約五十人が十八日、上京し、JR東日本などに支援を要請した。旅館組合の調査によると、十月二十三日から今月九日までの宿泊や宴会のキャンセルは、被災地の長岡市や小千谷市などを除いても、約三十一万千四百人に上った。地震前に入っていた予約の七―八割に当たり、新規の予約もほとんどない状態だという。東京・新宿のJR東日本本社ビルには十八日午前九時前、和服姿に真っ赤な法被を羽織ったおかみらが勢ぞろい。越後湯沢―長岡間で運休が続く上越新幹線について「一刻も早く全線開通してほしい」と陳情。JR側は「一生懸命努力する」と応じた。この後、国土交通省など関係省庁へ支援要請に向かった。金子春子(かねこ・はるこ)・旅館組合事務局長は「キャンセルの多くは『県全域が危険』という誤った風評被害が原因だと訴えたい」と話していた。
11/18

山古志の仮設住宅に診療所

新潟県中越地震で全村避難している山古志村は十八日までに、長岡市に建設中の仮設住宅敷地内に、村立診療所を設置することを決めた。村災害対策本部によると、地震前の村の診療所に勤務していた医師一人と歯科医師一人が、新たな診療所でも診察する。旧診療所に壊れずに残っていた医療機材を運び込むという。村は「村のかかりつけの医師を頼りにしている人は多い。お年寄りなどには大事な施設になるだろう」と話している。
11/18

地震火災、9件にとどまる 暖房器具の使用少なく

新潟県中越地震のために発生した火事は余震を含め計九件だったことが十八日、県の調べで分かった。このうちけが人が出たのは一件四人で、死者はなかった。阪神大震災に比べ被害が少なかったことについて県消防課は「十月だったので暖房器具の使用が少なかった。夕飯時だったが、ガスの遮断装置も働いた」とみている。県によると、八件は本震が起きた二十三日に、一件は余震があった二十四日に発生し、五件は住宅、四件は工場や物置など。四件がぼやだった。県は、四人がけがをした長岡市のアパート火災の原因を「都市ガスの配管が地震で破断し、何かが引火した」と推定。ほかにストーブに食器棚が倒れて引火したり、仏壇の線香から出火したとみられるケースもあった。
11/18

長岡の避難住民が一時帰宅 冬への備え急ぐ

地震で避難生活を続けている新潟県長岡市蓬平(よもぎひら)町の住民約二百十人が十八日、車約百台で四回目の一時帰宅をした。住民らは壊れた家財道具の片付けや畑仕事をして、冬への備えを急いだ。タクシー運転手石田正男(いしだ・まさお)さん(54)は、仕事の都合で地震後初めてアパートに帰った。ドアを開けるとたんすや仏壇が傾き、両親や先祖の遺灰が床にこぼれていた。「ひどいとは聞いていたが、どうしていいか分からない。せめて遺灰だけは大切に持ち帰りたい」とため息をついた。同じアパートの五十嵐英司(いがらし・えいじ)さん(23)。近くの温泉旅館に勤務していたが地震で旅館が壊れたため失業した。実家は山古志村でも特に被害の大きい池谷地区の酪農家。報道写真で牛が何頭も死んだのを知り、家族全員で涙を流したという。柏崎市に転居が決まり、十七日山古志村に入って全壊した家に別れを告げた。「前向きに生きていくしかない。いつか旅館に人が集まる日が来た時、またここに戻って来られればと思う」と話していた。
11/18

避難者数が1万人割る 日本酒仕込みは1割減へ

新潟県中越地震による避難者は十八日、九千三百十人となり、発生から初めて一万人を割った。体育館などの避難所や屋外のテントで生活する人はピーク時、約十万三千人に上ったが、震度7を記録した川口町で一部地域を除き避難勧告が解除されたことなどから、十七日に比べ約千三百人減った。県酒造組合は十八日、今冬の日本酒仕込み量が昨冬に比べ約一割減る見込みと発表。日本酒離れの影響もあるが、製造再開が来年になる蔵元が三社、今冬見送りが一社あるためという。四十社が被災したが、十六日現在で、出荷はすべての蔵元で再開され、二十四社では製造も可能となった。JR東日本は、脱線した上越新幹線ときの六、七両目を新潟市の車両基地に搬入、事故現場からの車両撤去作業をすべて終了した。
11/18

被災者に無料で映画上映 楽しそうにひととき過ごす

地震被災者の避難所になっている新潟県小千谷市の「サンラックおぢや」で十八日夜、被災者に元気を出してもらおうと、最新の話題映画「隠し剣 鬼の爪(つめ)」(山田洋次監督、藤沢周平原作)の無料上映会が開かれた。新潟県聴覚障害者情報センター(徳田昭彦(とくだ・あきひこ)所長)が企画し、松竹と住友商事が「被災者の力になれば」と協力。聴覚障害者用の字幕付きで、一般の被災者のほか、耳の不自由な人も訪れた。上映会の冒頭、徳田所長は「余震が繰り返される日々ですが、どうか心と体の健康にご留意ください」と手話通訳を交えあいさつ。上映中には会場が笑いに包まれる場面もあり、約六十人の観客は楽しそうにスクリーンを見詰めていた。隣接する市総合体育館で避難生活を送る無職小川為政(おがわ・ためまさ)さん(81)は「悩みをひととき忘れさせていただきました。励ましてもらって心から感謝しています」と話した。
11/18

物資の受け入れ中止相次ぐ 被災地「義援金の方が」

新潟県中越地震の被災地で救援物資の受け入れを中止する自治体が相次いでいる。物流が復旧して必要な物資が確保できたことが理由で、自治体からは「物資よりも義援金の方がありがたい」との声も出ている。小千谷市は、食料や毛布など避難所で緊急に必要だった物資が一通り確保でき、倉庫も満杯になったことから、十日に受け入れを中止した。物資を無駄にしないため、賞味期限がある食料品を優先して在庫リスト作成を急いでいる。仮設住宅に移る際には、家財道具が新たに必要になる可能性があるが、呼び掛けると予想以上に届いてしまうという悩みもあり、受け入れを再開するかは未定だ。小千谷市は「物流も回復し、新たな需要に対応しやすく保管も便利な義援金の方が、現状では助かる」としている。そのほか「これ以上受け入れると被災者の避難スペースがさらに狭くなる」として、山古志村や長岡市、川口町なども提供の申し込みを辞退している。土のう袋とヘルメットだけを求めている新潟県は「地震から四週間近く経過し、市町村からの要望も減った」としている。日本赤十字社の畑厚彦(はた・あつひこ)参事は「被災者個人が欲しいと思っても適切に配るのは難しい。物資が大量に送られると(自治体は)パニック状態になる。個人からは受け入れない、などの対応が必要だ」と話している。
11/18

ニシキゴイをヘリで救出

新潟県中越地震で、土砂崩れなどで立ち入りができなくなったニシキゴイの産地、小千谷市や山古志村に残されたコイをヘリコプターで長岡市に運ぶ作業が十八日、行われた。コイが入ったケースをつるしたヘリが長岡市内のヘリポートに到着すると、待ち受けた業者が体長九〇センチ近いニシキゴイをトラックの水槽に一匹ずつ移した。山古志村のコイ養殖業五十嵐進(いがらし・すすむ)さん(59)は「状態は悪くなく、生きて戻ってくれた。まだ残されているコイもいるので順次やっていきたい」と話した。
11/18

避難者数が1万人割る 新幹線の撤去作業が終了

新潟県中越地震で、避難者数が十八日午前九時現在で九千三百十人となり、発生から初めて一万人を割った。体育館などの避難所や屋外のテントで生活する人は、ピーク時には約十万三千人に上ったが、震度7を記録した川口町で一部地域を除き避難勧告が解除されたことなどから、十七日に比べ約千三百人減った。JR東日本は、脱線した上越新幹線ときの六、七両目を新潟市の車両基地に搬入、事故現場からの車両撤去作業をすべて終了した。トンネルなどの補修に時間がかかるため、運転再開の見通しは立っていない。
11/18

家屋調査をデータベース化 小千谷市、被災証明急ぐ

新潟県中越地震で小千谷市は十八日までに、被災者の支援金受け取りや税減免手続きに必要な被災証明書の基礎となる被害家屋調査について、柱の傾きや壁の亀裂などをデジタルカメラで撮影し家屋番号で検索できるデータベースを導入した。被災者が納得する判定作業を図るのが狙い。被災証明は「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の四区分で判定。税の減免や各種貸付金、融資で証明書が必要となる。小千谷市などの被災地には積雪による倒壊の恐れなどから撤去が必要な家屋が多く、撤去後は家屋調査や判定が難しくなるので、約二百数十人が急ピッチで調査を進めている。一方、被災証明書の発行には住民の同意が必要で、判定に住民の納得が得られない可能性がある。このため、小千谷市はデータベースを利用して住民に説明、被災証明書発行をスピードアップさせる考えだ。小千谷市によると、防災科学技術研究所地震防災フロンティア研究センター(神戸市)と富士常葉大(静岡県富士市)の重川希志依(しげかわ・きしえ)教授が協力してシステムを開発した。雪氷災害の専門家らでつくる調査検討委員会の上村靖司(かみむら・せいじ)・長岡技術科学大講師は「倒壊家屋は早く撤去しないと、隣接する建物もドミノ倒しになってしまう」と撤去作業を急ぐ必要性を指摘している。
11/18

ボランティアとアクセス

新潟県中越地震の救援ボランティア、義援金の受付問い合わせ先とアクセス状況は次の通り。【ボランティア窓口】新潟県災害救援ボランティア本部025(281)5527▽川口町080(5098)6186 【義援金】新潟県出納局管理課025(280)5484▽日本赤十字社本社03(3437)7081▽新潟県共同募金会025(281)5532 【鉄道】長野―新潟を越後線経由の臨時列車が一日四往復運行。運転見合わせは次の区間(十七日午後六時現在)上越新幹線越後湯沢―長岡▽上越線小出―宮内▽信越線柏崎―長岡▽只見線小出―只見▽飯山線十日町―越後川口 【道路】関越道は小出―長岡間で上下線とも片側一車線通行
11/17

医師会が医療費免除を要望 「病気悪化の恐れ」と指摘

新潟県医師会と新潟県歯科医師会、新潟県薬剤師会は十七日、中越地震で被災した人の医療費の自己負担分について、阪神大震災と同様に全額免除するよう国に求める要望書をまとめた。医師会の倉品克明(くらしな・よしあき)会長は「窓口で払う金の負担が重いという理由で病院に行くのが遅くなり、病気が悪化する被災者が出てくる恐れがある」と話している。一方、阪神大震災の際に兵庫県警が女性警察官だけで編成した「のじぎく隊」の元隊長、坊野佳代子(ぼうの・かよこ)警視が新潟市内で講演。新潟県警が「のじぎく隊」を参考に結成した「ゆきつばき隊」の約百人に震災の経験を話し、「被災者と同じ目線で話をして」とアドバイスした。新潟県は、被災した聴覚障害者を助けるため、手話通訳者二人を十日町市に派遣。避難所で困っていることがないか聞き取りを始めた。
11/17

3人に1人が不眠訴える 避難所の心の健康相談

新潟県中越地震のため避難所で生活している住民の三人に一人が不眠を、四人に一人が不安・恐怖を訴えていることが十七日、県が実施した心の健康相談の中間まとめで分かった。精神科医らによる「こころのケアチーム」が十月二十六日から今月五日まで、避難所を回って千二百七十人から相談を受け、相談内容(複数回答)を分類した。不眠を訴えたのが四百五十八人(約36%)で最も多かった。次いで、不安や恐怖の相談が三百十四人(約25%)、無気力が三十四人、イライラが三十人。問題ないと答えたのは百十三人だった。また、十月二十四日に開設した電話相談「こころのケアホットライン」には十二日までに四百四十一件の相談が寄せられ、余震や将来などの不安が百三十七件に上った。「子供が赤ちゃん返りした」「老人がボーッとしている」など、家族への接し方の相談も七十九件あった。県の担当者は「被災者の話をゆっくり聞くことが大事。今後も医療機関の紹介など適切なアドバイスをしたい」と話している。
11/17

積雪の被害、どう反映 全村民避難の山古志村

雪の季節を控え、新潟県中越地震で大きな被害を受けた山古志村では、雪による影響を被災証明を発行するための被害認定にどう反映させるかが大きな問題として浮上している。全村民が避難したため、傷んだ家屋の修理や雪下ろしができず、今後倒壊する恐れがあるため。長島忠美(ながしま・ただよし)村長は「雪による影響も一連の地震被害として判断されるべきだ」と、強く訴えている。新潟地方気象台によると、山古志村の積雪量は例年、最大二メートル近くになる。新潟工科大の深沢大輔(ふかざわ・だいすけ)教授(建築学)は「地震で傾いたり、柱などに被害を受けた家は一メートル程度の積雪でも倒壊する危険がある」と指摘する。さらに同教授は、山古志村の地盤が緩んでいることから「雪解け水による土砂災害の可能性も高く、春までに大きな被害が出るだろう」との見方を示す。被災証明を発行する際の国の被害認定基準には、雪による影響は加味されていない。被災証明は、国や県の生活再建支援額や地震保険などの算定基準となるため、被災者にとっては切実な問題といえる。山古志村は十五日から家屋調査を始めたが、冬が過ぎた後に被害認定を最終判断できるよう、県に要望書を提出。県も「雪の被害も支援の枠組みに入れられるか、国と相談したい」と前向きだ。
11/17

ポンプと排水路増やし対応 土砂ダム対策で検討委

新潟県中越地震で、山古志村と小千谷市の芋川に土砂崩れダムができた問題で、国土交通省の対策検討委員会の初会合が十七日、同県湯沢町で開かれ、ダムの水位を下げるため排水ポンプ追加や新たに排水路を造成することなどを決めた。会合には国交省や新潟県、山古志村の防災担当者や委員長となった新潟大の丸井英明(まるい・ひであき)教授(自然災害科学)が出席した。降雪期は水量が増えて決壊する可能性が高くなるため、排水ポンプを四台追加し計十二台にすることや、ポンプで水抜きする現在の「緊急排水路」と別に、ポンプを使わずダムに直接つないで水を流す「自然排水路」三つを造ることにした。芋川の土砂ダムは五カ所あり、東竹沢地区と寺野地区は土砂の量が多く、決壊すれば土石流が発生する恐れがある。国交省は、土石流を検知するワイヤセンサーや警報機を設置。土のうを積み、排水路を造るなどの対策を講じてきた。二十六日に第二回会合を開き、過去の土砂ダムの事例を参考に芋川流域全体の恒久的な対策を検討する。
11/17

中越地震の被害は3兆円 知事「県経済全体に影響」 政府は補正予算編成へ

新潟県の泉田裕彦(いずみだ・ひろひこ)知事は十七日の県議会本会議で、中越地震の被害総額について「三兆円程度になると見込んでいる」と述べた。県が被害総額の見通しを明らかにしたのは初めて。復興基金の創設を検討し、国には引き続き特別立法を求めていく考えも示した。政府は被害額が当初予算などで復旧のために手当てできる資金を大幅に上回るため、来年一月の通常国会に向けて補正予算編成を急ぐ。自民党は、国の財政支援を拡充するため特別措置法を検討する方針だ。泉田知事は、脱線した上越新幹線や通行止めとなった関越自動車道という首都圏と新潟を結ぶ大動脈が寸断されたことで県経済全体に影響が及ぶと指摘した。県によると、公共土木施設や新幹線、関越自動車道などインフラへの被害が一兆二千億円。判明分だけで千三百億円となっている農林水産被害が最終的に四千億円に上ると推計。住宅(七千億円)、商工業(三千億円)、電気、水道、ガスなどライフライン(一千億円)などで計三兆円程度になると見込んでいる。阪神大震災の被害額は、兵庫県だけで約十兆円に上った。また泉田知事は被災者の救済、自立支援を目的とした復興基金の創設を検討していることを明らかにした。泉田知事は「地方債発行の許可や地方債の引受先となる金融機関の了解を得るなど難しい課題を克服するため、最大限努力している」と述べた。泉田知事は答弁で「中越大震災」と繰り返し述べて、被害の甚大さを強調。莫大(ばくだい)な財政支出が予想される一方で、被災地には財政力の弱い市町村が多く県財政も逼迫(ひっぱく)していると指摘。阪神大震災と同規模の国の財政支援を得るため、特別立法制定をさらに働き掛けていく考えを示した。政府は当面、農業関係や公共土木施設の復旧事業の国庫補助率が引き上げられる激甚災害に今月中に指定できるよう、査定作業を急いでいる。
11/17

小学校体育館が崩落の危険 山古志村でがけ崩れ

新潟県中越地震で、全村避難している山古志村の東竹沢小学校横で大規模ながけ崩れがあり、体育館脇の地面が崩落していたことが十七日、分かった。崩落範囲が広がれば、体育館ががけ下に落ちる恐れもある。国土交通省北陸地方整備局によると、現場は土砂でせき止められた芋川の排水場所で、体育館のすぐ脇の地面が幅約四十メートルにわたって崩落した。土砂崩れダム対策として、ポンプ八台を使い取水した水を排水しているが、この水が体育館下の地面を浸食したために崩落したとみられる。同整備局は浸食対策としてコンクリートブロックを置くことを検討している。
11/17

仮設住宅申し込み開始 小千谷市

新潟県中越地震で全住宅の約12%が全半壊した小千谷市で十七日、十一月下旬に完成する仮設住宅約三百八十戸分の入居申し込みが始まった。十二月には、追加建設分四百二十戸の申し込みを受け付ける。小千谷市総合体育館には早朝から人が並び、市は予定より三十分早い午前八時半に受け付けを始めた。小千谷市小栗山の主婦(72)は、地区の住民で一緒に住めるように農業試験場跡地の仮設住宅を希望。「自宅は全壊。棚田も地滑りで崩れ、コイの養殖池も水が抜けた。自宅は建て直せないが、仮設住宅にいる間にせめて近くで家を探したい」と話していた。
11/17

震災経験をアドバイス 新潟県は手話通訳派遣

阪神大震災の際、兵庫県警が女性警察官だけで編成した「のじぎく隊」の元隊長、坊野佳代子(ぼうの・かよこ)警視が十七日、新潟県中越地震の被災地に入り、新潟市内で講演した。新潟県警が「のじぎく隊」を参考に結成した「ゆきつばき隊」の約百人に、阪神大震災の経験などを話し「被災者と同じ目線で話をして」とアドバイス。被災地での活動を視察するため、小千谷市へ向かった。新潟県は、被災した聴覚障害者を助けるため、手話通訳者二人を十日町市に派遣。避難所で困っていることがないか聞き取りをしたり、市役所でのさまざまな申請手続きを手伝ったりする。
11/17

地震で420人解雇 雇用情勢悪化、避けられず 新潟県は救援基金検討

新潟県中越地震が原因で勤務先を解雇された人が少なくとも四百二十人に上ることが十七日、新潟労働局の調べで分かった。業績悪化が顕在化する企業は今後増加するとみられ、雇用情勢の悪化も避けられない見通しだ。新潟県は中高年失業者の働き口を確保するため「被災失業者救援基金」(仮称)の創設を検討。国が財源確保を確約すれば、二〇〇五年春から運用を始めたい考え。新潟労働局によると、ハローワークを通じて把握できた、解雇された労働者数は、五十社の四百二十六人。工場や事務所など建物が被害を受け、操業できなくなったケースが多いという。同労働局が発表した九月のパートタイマーを含んだ有効求人倍率は小千谷地域で〇・六九で、低調な傾向が続いている。長岡地域では前月より〇・一ポイント上がって一・一五と上昇傾向。冬季はスキー場や除雪関連の臨時的な雇用が発生するため例年上昇するが、同労働局は上がり幅の縮小や減少は避けられないとみている。基金が創設できた場合に県は、被災住民を新たに雇用した事業者に一定額を助成したり、被災住民に職業訓練を受けてもらうなど、柔軟な運用で失業者を減少させていく方針だ。
11/17

「復興は財政再建に優先」 新潟県知事が所信表明

新潟県の泉田裕彦(いずみだ・ひろひこ)知事は十六日、就任後初の臨時県議会で「(中越地震など)災害の復興を財政の健全化に優先して取り組む」と所信表明した。二兆円の県債残高を抱える新潟県は、二〇〇七年度に財政再建団体に転落すると試算。財政問題は県の最優先課題だった。災害復興で県財政がさらに逼迫(ひっぱく)するのは確実で、泉田知事は従来の事業を見直し、新たな財源を確保する方針も併せて表明した。また泉田知事は、災害など緊急事態が発生した際に二十四時間態勢で対応する専門チームを、防災局に編成する方針を表明した。これまで夜間や休日は県庁の守衛が危機管理部門の担当者をポケットベルや携帯電話で呼び出す方式で、二十四時間態勢にはなっていなかった。中越地震は土曜日夕方に発生し、十分後に大口弘人(おおぐち・ひろと)危機管理監が県庁に到着するまで危機管理担当職員は不在だった。この日の臨時議会では、出席議員全員と知事ら県幹部のほとんどが防災服姿。地震の犠牲者の冥福を祈り、全員が起立して黙とうした。泉田知事は十月十七日の知事選で自民、公明両党の推薦を得て五人を破り初当選。地震発生二日後の十月二十五日、三期務めた平山征夫(ひらやま・いくお)氏の後を継いで知事に就任した。
11/16

新幹線の撤去作業が完了 タフな臨時職員を募集

JR東日本は十六日、新潟県中越地震で脱線した上越新幹線「とき」の車両(十両編成)のうち、現場に残っていた四両を長岡駅近くまで移動させ、事故現場からの車両撤去を完了した。四両は十八日までに新潟市の車両基地に搬送する予定。不通となっている長岡―越後湯沢間はトンネルの点検が必要で、復旧の見通しは立っていない。また越路町は、各種補助や支援の申請などで事務処理量が大幅に増えたため、臨時職員を募集している。疲れた被災者に誠実な対応が求められるため「健康で、精神的、肉体的にタフな人」を採用条件にしている。
11/16

雪解けで大量の水が芋川へ 土石流の危険高まると指摘

新潟県中越地震による土砂崩れで流れがせき止められた山古志村の芋川上流には、春に雪が解けると、最大で一日百ミリの降雨に相当する大量の水が毎日流れ込むことが、十六日までの日本雪氷学会などの調査で分かった。芋川流域は、五カ所で大量の水がたまってダム状になり、土石流発生の危険性が指摘されているが、雪解けでさらに高まるという。国土交通省と県は、排水ポンプの設置など応急対策を進めているが、本格的な積雪の前に雪解け水への対策にも着手する方針だ。同学会の調査を担当した中央農業総合研究センターは、比較的降雪が少なかった二〇〇一年から〇二年にかけての冬、芋川上流域での降雪を分析した。積雪量が最大となるのは三月上旬で、雨水にすると千五百ミリ相当の積雪だったことが判明。雪は気温が上がる三月中旬から解けて毎日川に流れ込み、一日当たり最大で百ミリ相当になることがあるという。県などの調査で上流域の山の斜面や水田に多くの亀裂も見つかり、雪解け水が入ると地滑りが発生する可能性も高まるという。センターの横山宏太郎(よこやま・こうたろう)・気象資源研究室長は「本格的に雪が解け始めると、数十ミリの雨が毎日降るのと同じことになる」と、土石流への本格的な対策をとるよう訴えた。
11/16

脱線新幹線の移し替え終了 長岡で通常のごみ収集再開

新潟県中越地震で脱線した上越新幹線「とき」(十両編成)を下り線から上り線に移し替える作業が十五日、終了した。JR東日本によると、脱線した八両のうち、最後まで残っていた八号車をクレーンを使って持ち上げ、反対側の線路に用意した台車に載せた。すべての車両は十八日未明までに新潟市の車両基地に運ぶ予定。長岡市では、通常のごみ収集が再開された。ペットボトルや瓶、新聞などに分別し、決められた曜日ごとに収集する。ごみは有料の袋に入れる必要があるが、地震で壊れた食器や机などは「災害ごみ」と明記すれば無料で収集するという。また同市は市役所ロビーに被災住宅の再建に関する相談窓口を開設。支援策について担当者が説明した。災害復旧を支援するため、二十二都道県と名古屋市から派遣された技術職員計八十九人が、新潟県庁から各被災地に向かった。
11/15

避難所に「出前接種」 インフルエンザ対策で

新潟県中越地震の被災者の間でインフルエンザが流行するのを防止するため、県内自治体と医師会が避難所に医師を派遣し、ワクチンの「出前接種」を実施している。十五日現在で、約一万一千人が体育館などの避難所や車内で避難生活を送っているが、医療機関が損壊した被災地も多い。県は「いったんウイルスがまん延すれば、集団感染につながる恐れがある」として、被災者に早めに接種するよう呼び掛けている。全村民が避難した山古志村の村民に対しては十、十一日の両日、長岡市医師会の医師が避難所を回って、七百九十人に予防接種した。越路町でもこれまでに百十五人、長岡市では八十人が接種を受けた。県はワクチン不足を懸念して、既に厚生労働省に緊急時用の備蓄ワクチン五万本を要請。またポスター五百枚、チラシ三万枚を三十八市町村の避難所や医療機関に配布、早期接種を呼び掛けた。厚労省は、避難所での集団接種について、医師の交通費や六十五歳以上の高齢者のワクチン購入費を国と県が二分の一ずつ負担する方針を決定。県によると、個人負担は六十五歳以上が無料、六十五歳未満はワクチンの実費千円程度となる。
11/15

「魚沼市」に本格移行 災害対応で不安訴える声も

新潟県中越地震の被災地で一日に発足した魚沼市が十五日、災害対策のための緊急態勢を解除、新市に本格移行した。非常勤特別職として二週間の期間限定で災害対策に当たってきた旧町村の首長らは失職し、職員からは避難勧告の判断などで不安を訴える声も出ている。魚沼市は堀之内町、小出町、湯之谷村、広神村、守門村、入広瀬村の六町村が合併し、一日に発足。しかし大半の職員の辞令を凍結し、湯之谷村を除く旧首長らが非常勤特別職として各役場に残った。特別措置は十五日に期限が切れ、旧六町村の役場だった分庁舎は、総合事務所になった。旧首長らが本部長だった地域災害対策本部を廃止し、一般職の事務所長を本部長とする現地災害対策本部に再編成。山古志村に隣接する旧広神村では今も一部に避難勧告が出ている。桜井源一事務所長は「避難勧告の解除や、雨や余震による新たな避難勧告発令で、事務所の職員が一定の判断をしなければならなくなる。心理的に負担で不安」と打ち明ける。市長職務執行者の野村学・元守門村長は十五日、旧小出町の市役所本庁舎に移動。職員に「今後も余震活動が続くと思うが、市民の安心のために、新しい魚沼市を作り上げていきたい」とあいさつした。守門総合事務所の目黒秀広次長は「避難所にいる住民の不安をなくすことが大切」と、元村長に代わって住民との連携を強める必要性を強調した。一方、芋川がせき止められ、一時避難生活を強いられた竜光地区がある堀之内総合事務所の滝沢稔次長は「職員の増員が検討されており、われわれも経験を積んでいるので不安はない」と話している。
11/15

小中学生がヘリで村上空に 全村避難の山古志村

新潟県中越地震で全村避難が続いている同県山古志村の小中学生計約百十人が十四日午前、自衛隊ヘリコプターに搭乗、約十五分ずつ上空から村の被災状況を見た。村の小中学生百二十一人のうち、小学生約八十人と中学生約三十人。長岡市内の高校グラウンドから、村の同じ地区の子どもと保護者らが約十人ずつ乗り、二機が計十八往復した。グラウンドを訪れた長島忠美村長は「帰村に向けてわれわれが戦うために、子どもに村を見てほしいと思った。子どもたちに今後不自由な思いをさせるが、村を支えようという気持ちになってくれればうれしい」と話していた。ヘリから降りた小学四年の坂牧瞭君(9)は「家はそれほど壊れていなかったが、道路は壊れ、小学校のグラウンドはガタガタで悲しかった。思い出がいっぱいの村に帰りたい」と話していた。小学生二人の子どもと一緒に乗った青木和久さん(38)は「子どもにも現実を見せないといけないので、意味は大きい。子どもの心にも一生残り、考えてくれると思う」と話していた。一方、建物の下敷きになって死亡した山古志村の畔上勝さん(54)と母よしさん(78)の葬儀が十四日、長岡市の葬儀場で営まれた。 長島忠美村長や同じ楢木地区の住民など約百人が参列した。 長岡市の会社員男性(45)によると、喪主の畔上守二さん(75)は「(二人を)みんなに土の中から出してもらって葬儀ができた。ありがたい」と言葉少なにあいさつしたという。
11/14

専門医団体が注意喚起 エコノミークラス症候群で

新潟県中越地震の被災地で、脚の静脈にできた血栓が肺の血管に詰まる、いわゆるエコノミークラス症候群が相次いでいることから、専門医らでつくる肺塞栓(そくせん)症研究会(代表世話人、中野赳・三重大医学部教授)は十三日、体を自由に動かせない状態で長時間過ごさないなどの注意点を緊急提言として公表した。新潟大の調査では、車中で寝泊まりをする被災者らの約三割に血栓があり「日本人には多くないという従来の認識を覆すもの」として、医療従事者や行政関係者にも対策を求めている。避難生活を送る人に対しては、息切れや胸の痛み、片側の脚のむくみや痛みが出た場合は医療機関を受診するよう呼び掛け「長時間同じ姿勢を続けた後に症状が出た場合、この病気を疑うべきだ」とした。予防には、脚の運動やゆったりとした服装、十分な水分の摂取が大事だとした。医療従事者には、脚の症状なしに発症した人がいる点や、小さな血栓でも進行して同症候群になる可能性がある点に注意を呼び掛けた。寒冷地ほど窮屈な姿勢を続けて発症しやすくなることや、危険性のある人には圧迫力が強い「弾性ストッキング」が勧められることも指摘。高齢者や妊婦、脚の骨折・外傷のある人などは優先して広い場所へ移動させるよう求めている。
11/13

「特別立法を働き掛ける」 日弁連会長が被災地視察

日本弁護士連合会の梶谷剛会長は十三日、新潟県中越地震の被災地を視察後、新潟市内で記者会見し、被災者への支援について「人権擁護の立場から、特別立法の制定も検討し、関係官庁に働き掛けていく」と述べた。梶谷会長は長岡市の土砂崩れ現場などを視察し、泉田裕彦知事と知事公舎で会談。泉田知事は「実質的な財政援助を受けるための働き掛けをお願いしたい」と要望したという。日弁連は、昨年制定した「災害復興支援に関する規程」に基づき、十月二十九日に災害対策本部を設置。今後増加するとみられる法律相談に対応するため、全国から弁護士を派遣する準備を進めているという。また、新潟県弁護士会(足立定夫会長)は十三日、県内の弁護士を対象に被災者救済のための研修会を開いた。会の相談窓口には同日までに、約七十件の電話相談があったという。
11/13

商工会議所が無料相談 魚沼市では引っ越し作業

新潟県中越地震で、長岡市の長岡商工会議所などは十三日、被災した中小企業を対象に資金繰りや雇用に関する無料相談を実施した。「被災したが融資を受けるにはどうしたらいいか」など四十件の相談があり、商工会議所や長岡中小企業相談所の担当者が対応した。堀之内町、小出町、湯之谷村、広神村、守門村、入広瀬村の六町村が合併して一日に発足した魚沼市では、市の本庁舎となる旧小出町役場への引っ越しが行われ、職員が机や書類などを運び込んだ。同市は地震発生を受け、二週間限定で旧町村それぞれで対応に当たってきた。十五日から新体制に本格移行する。山古志村の芋川がせき止められている問題で、国土交通省北陸地方整備局は水があふれ出るのを防ぐため東竹沢地区で続けてきた土のう積み作業を終えた。午後五時現在の避難者数は約一万二千人。
11/13

小中学生がヘリで村上空へ 15日から家屋被害調査 全村避難の山古志村

新潟県中越地震で全村避難が続いている同県山古志村の長島忠美村長は十三日、村の小中学生百十二人を十四日に自衛隊ヘリコプターに乗せ、上空から村の被災状況を見せると発表した。また十五日から十日間の日程で、家屋の被害調査をする。長島村長は「悩んだが、村の悲しい状況を見てもらうことにした。現状を目に焼き付けてもらい、必ず村に帰るんだという気持ちを強く持ってほしい」と話した。子供たちから、村の状況を見ておきたいという声が上がっていたという。ヘリには村の地区ごとに子供と保護者ら約十人ずつを乗せ、二機で計十八往復する。約十五分間、上空から村の現状を見せる。第一便が、午前九時に長岡市内の高校グラウンドを離陸、正午ごろまでに終了する予定。村は十月二十三日の本震で、至る所で土砂崩れが発生、道路が寸断された。また、流入した土砂で川がせき止められた場所が五カ所ある。家屋調査は、最終的に全家屋を調べるが、当面は道路状況をみながら種苧原地区など、陸路で入れる地区から順次調べていく。調査員には村職員と各地区から一人が同行する。また長島村長は被災証明書について、家屋が積雪に耐えられるかなどを判断した上で、来春には発行してもらえるよう新潟県に要請中であることを明らかにした。十三日開かれた村の区長会議では、長島村長が長岡市内に建設中の仮設住宅について、十二月中旬を目途に入居できるよう県に要請していると報告した。
11/13

山古志村の一部に送電 住宅被害2万2千戸に

新潟県中部地震は十三日で発生から三週間。全住民が避難した山古志村の種苧原(たねすはら)地区で東北電力が送電を始めた。被災地では震度3から1の余震が続いた。JR東日本は、不通となっていた上越線の六日町駅―小出駅間で運行を再開した。新潟県の午前九時現在のまとめによると、地震による死者は四十人、けが人は二千七百六十二人で、住宅被害は約二万二千戸に上った。避難者数は約一万二千人で、このうち約二千人はテントや車など屋外での避難を続けている。ライフラインは、電気が約二千二百戸、ガスは約八千五百戸、水道は約三千七百戸が止まったままになっている。山古志村へは十三日、東北電力の社員や電気工事業者ら約百人が住民と一緒に入村。契約者立ち会いの下で家屋や牛舎、街灯などに漏電がないかを検査し、異常がないことを確認して送電した。村は全域で停電していたが、種苧原地区は比較的被害が少なく、復旧が早まった。新潟観光コンベンション協会は、羽田空港との間で臨時便が飛んでいる新潟空港に職員を配置、観光や不通区間がある鉄道の乗り継ぎ方法の案内を始めた。越後湯沢―長岡間が不通となっている上越新幹線が開通するまで業務を続ける。
11/13

「降雪は生死の問題」 防災研究所長が警鐘

新潟県中越地震は、被災地の生活道路を寸断し、雪が降ると住民への影響はさらに深刻になる。長岡雪氷防災研究所の佐藤篤司(さとう・あつし)所長は「降雪は生死にかかわる問題」と警鐘を鳴らしている。佐藤氏は道路の除雪ができない場合は、孤立する集落があると指摘。「中山間地には過疎地域が多く、お年寄りが多い。通院を日課にしている人は通院できなくなり、救急車も集落まで入れない。弱者に被害が大きい」と話す。重機による除雪の普及は、豪雪地帯でも夏季と同様の通勤・通学を可能にしたが、除雪がなければ「どこかであきらめざるを得ない」。豪雪地帯では山沿いや谷を走る道路が多い。山肌が削られている場所は、全層雪崩の危険が増すほか、地震で各地の雪崩防止さくが機能しなくなっている。佐藤氏は「雪崩を回避するために迂回(うかい)路をつくったり、通行止めをするなどの行政判断が必要」と話している。
11/13

被災地の除雪対策に不安 道路や消雪パイプ損壊 被害把握もできない状況

新潟県中越地震の被災地の多くは、国内有数の豪雪地帯。住民の足を確保するためには、道路の除雪が重要課題だが、地震で道路や消雪パイプが損壊し、地元自治体が被害を把握できない状況が続く。今月下旬にも初雪が降る。雪国で生活する人たちの焦りが募っている。長岡市によると、市道は総延長千四百二十四キロ。うち二百六十四キロに消雪パイプが設置されている。内径六・五センチの鉄管を道路下に通して、地下水を噴出させて雪を溶かす。市は十日から消雪パイプの被害確認を始めたが、市が管理するパイプは市道全体の約27%。残りは私有で地域ごとにある「一千以上」(道路建設課)の消雪組合に管理は委ねられている。被害の実態や復旧の見通しは、市でも十分把握できないのが現状だ。市は昨年度、ブルドーザーなど重機による除雪に約五億六千万円を支出、延べ七百五キロの道路の雪を排除した。作業は重機に取り付けた鉄板で、路面の雪をそぎ取るのが中心。地震による液状化現象でマンホールが浮き上がったり、路面が割れて盛り上がっている場所が多くあるため、市は「運転手が危険なだけでなく、作業の速度が下がる」と懸念する。小千谷市では雪対策の遅れがさらに深刻。ガスや水道の復旧作業が優先されるため、消雪パイプの修理は二十日以降になる。既に百九カ所の被害が確認され、修理費用は少なくとも三千七百万円に上る見通し。屋根から下ろした雪を川まで流す道路脇の「流雪溝」の被害調査は手付かずだ。国道の一部と県道の除雪を担当する新潟県長岡地域振興局は「必要な場所は除雪する方針だが、道路工事の状況でどうなるか分からない。通常一月半ばが積雪のピークだが、異常気象で何が起こるか分からない」と気をもんでいる。
11/13

上越線の一部が運転再開へ

新潟県中越地震の影響で十月二十三日から運転を見合わせていたJR上越線の六日町―小出間が十三日の始発から運転再開する見通しとなった。当面は速度制限し、五分程度の遅れが出るという。小出―長岡間の復旧は見通しが立っていないため、バスで代行輸送する。所要時間は約二時間十分。六日町―越後堀之内、小千谷―長岡間のバス代行輸送は十二日で終了する。
11/12

震災経験持つ女性警官派遣 新潟の被災地に兵庫県警

阪神大震災の際、全国の警察から応援を受けた兵庫県警が、当時の返礼も込めて震災時の活動経験を持つ女性警察官らを、新潟県中越地震の被災地に派遣することを決め十二日、神戸市の県警本部で出発式をした。派遣されるのは震災直後、避難所の警戒などに当たるため同県警が女性警察官で結成した「のじぎく隊」の元隊員ら十七人。新潟県警が被災後「のじぎく隊」を参考に結成した「ゆきつばき隊」に加わり、小千谷市の避難所などで住民の相談を受け付ける。隊名はそれぞれの県の花や木に由来している。出発式では大江宣信(おおえ・よしのぶ)警備部長が「十年前の震災時の貴重な経験を被災地でも発揮してほしい」と訓示。神戸市須磨区の被災地を回った一井奈美子(いちい・なみこ)巡査部長(30)は「他府県の方から温かい支援をもらい、今回はその恩返しを直接伝えられる。被災者の心のケアに努めたい」と意欲を燃やしていた。
11/12

土砂災害への警戒強める 被災地に未明から雨

新潟県中越地震の被災地は十二日未明から雨が降り、各自治体や避難住民は新たな土砂災害などへの警戒を強めた。午前二時二十四分ごろには余震があり、魚沼市の堀之内で震度4、小千谷市や川口町などで震度3を観測した。JR東日本は、脱線した上越新幹線「とき」の撤去作業を続けた。既に終わった一―三号車に続き、この日は四号車を下り線から上り線に移し替える作業をした。国土交通省北陸地方整備局は、流出した土砂で山古志村などの芋川にできた天然ダムの水位が雨で上昇する恐れがあるとして、ポンプをフル稼働させ排水作業を続けた。十二日午前九時現在の避難者数は約一万二千人。新潟県によると、県災害対策本部、日本赤十字社新潟県支部、新潟県共同募金会に寄せられた義援金は百一億八千万円となった。
11/12

水道被害の実態検証へ 阪神に次ぐ12万戸断水で、厚労省、耐震指針見直しも

厚生労働省は十二日までに、新潟県中越地震による水道の断水被害が一九九五年の阪神大震災に次ぐ十二万戸余に上ったことを重視し、週明けにも専門家らの調査チームを現地に派遣して実態の把握と原因分析など検証を進めることを決めた。阪神大震災の教訓から厚労省は水道施設の耐震化を全国の事業者に要請しているが、浄水場や配水池の耐震化率は20%前後と対策は遅れている。今回は被災地の耐震化の進み具合と被害を分析して今後の対策に生かすほか、必要に応じて現行の耐震指針を見直す方針だ。新潟県生活衛生課によると、震度6強の小千谷市で簡易水道の浄水場が地割れで傾き、長岡市では多くの配水管が破裂した。被災地全体で、最大時は約十二万六千戸が断水。一九六四年の新潟地震(約五万五千戸)や二〇〇一年の芸予地震(約四万八千戸)を上回り、過去四十年間の地震では阪神大震災(約百三十万戸)に次ぐ断水被害(厚労省集計)となった。厚労省が昨年秋に全国約千八百の水道事業者に実施したアンケートによると、国の指針通りに耐震化している浄水場は20%、配水池は26%だけ。給水人口の少ない山間部などの小規模事業者ほど実施率は低く「今回のような深刻な被害が出る恐れのある町は多い」(厚労省水道課)という。調査チームは研究者や事業者団体の代表ら約二十人。三日間程度で小千谷市などを回り、被害や耐震化効果、応急給水、復旧状況を調べる。全国の水道施設の多くは一九七〇年代までに整備されて老朽化が進んでおり、厚労省は今回の教訓を整理した上で、更新時期に耐震化をするよう各事業者をさらに指導する。
11/12

M5以上の余震確率20% 引き続き、強い揺れに注意

新潟県中越地震の余震活動について、気象庁は十一日午後、マグニチュード(M)5・5(所によって震度5強)以上の余震が三日以内に発生する確率は約20%、M5・0(同震度5弱)以上は約30%と発表した。八日の発表よりM5・0以上の確率が10ポイント引き下げられた。同庁は「引き続き震度5強や5弱になるような余震が起こる可能性は高く、復旧活動に当たる人は注意してほしい」と呼び掛けている。十一日午後から七日以内の確率は、M5・5以上が約30%、M5・0以上は60%。
11/11

被害大きいほど健康に不安 長岡市の避難所調査結果

新潟県中越地震の被災地となった長岡市は十一日、避難所にいる全世帯の生活調査の結果を発表した。避難勧告が出ており、建物被害が大きい地域の住民ほど、健康に不安を抱えていることが分かった。市は八日、市内二十三カ所の避難所で「避難理由」や「健康状況」などをアンケート形式で調査。避難している約千世帯のうち、六百十八世帯から回答を得た。避難勧告の出ている地域では、避難理由として「建物が全・半壊で住めない」とした住民が約45%と最も多く、健康面では「不安」「やや不安」と記入した世帯が、避難勧告の出ていない地域の一・六倍の約62%に上った。市は「建物被害が大きいほど、健康不安の割合も大きい」とみている。避難勧告の出ていない地域の住民の避難理由は「余震が心配」を挙げた人が約63%と最も多かった。「気になること」の項目では、両地域とも「家のこと」と答えた住民が最も多かった。市健康課は「同時に行っている健康調査の結果と合わせて、ケアが必要な地域には個別に対応したい」としている。
11/11

お話キャラバン隊が出動 被災地の子供たち大喜び

新潟県中越地震の被災地、小千谷市の避難所を十一日、長野県の“お話キャラバン隊”が訪問。集まった子供たちは絵本の読み聞かせに目を輝かせて聞き入った。普段は長野県内を巡回している県教委運営の移動図書館。保健師やカウンセラーらも加わった隊員十人前後が一日から被災地を訪れている。車体にイラストが描かれた四トントラック「おはなしパケット号」の側面が開くと、中は六畳ほどのフロア。車の内外に七百冊の本が並び、約七十人の子供たちは大喜び。隊員らと本を読んだり絵を描いて楽しんだ。一日に訪れた川口町では、友だちが亡くなったつらい体験を淡々と話す子供が皆と過ごすうち笑顔を取り戻したという。「子供が元気で生き生きしていれば、大人は勇気や力をもらえる」と隊員もうれしそうだった。
11/11

地震の死者40人に 避難で体調崩した男性

新潟県中越地震の避難生活で体調を崩した十日町市春日、片桐寅蔵(かたぎり・とらぞう)さん(78)が、十月二十八日に長野県の病院で死亡していたと十日町署が十一日、発表した。死因は心不全で、同署は睡眠不足などが原因とみている。地震による死者は四十人となった。片桐さんは十月二十三日の本震後、家族と乗用車内で二泊した後に体調を崩し、十日町市の病院に入院。この病院も被災していたため、同月二十七日に長野県飯山市の病院に転院し、治療を受けていた。片桐さんは心臓に持病があり、月一回通院していたという。
11/11

ボランティア窓口と交通

新潟県中越地震の救援ボランティア、義援金の受付問い合わせ先とアクセス状況は次の通り。【ボランティア窓口】新潟県災害救援ボランティア本部025(281)5527▽小千谷市0258(81)6252▽川口町080(5098)6186 【義援金】新潟県出納局管理課025(280)5484▽日本赤十字社本社03(3437)7081▽新潟県共同募金会025(281)5532 【鉄道】長野―新潟を越後線経由の臨時列車が一日四往復運行。運転見合わせは次の区間(十一日午後六時現在)上越新幹線越後湯沢―長岡▽上越線六日町―宮内▽信越線柏崎―長岡▽只見線小出―只見▽飯山線十日町―越後川口 【道路】関越道は小出―長岡間で上下線とも片側一車線通行
11/11

新潟地震を特定非常災害に 阪神以来2件目の指定

政府は十一日の事務次官会議で、新潟県中越地震の被害者については、運転免許の有効期限を二〇〇四年度末まで延長するなど行政上の特別措置を認める特定非常災害に指定することを決めた。十二日の閣議で、特定非常災害特別措置法の政令を正式決定する。特定災害の指定は、阪神大震災に次いで二例目。対象地域は、災害救助法に準じて関係各省が告示する。運転免許期限延長の対象は、長岡市や小千谷市など四十八市町村の住民。警察庁によると対象者は約七万人。地震が発生した十月二十三日以降に有効期限切れとなっても、来年三月三十一日まで自動的に延長される。特例措置は、運転免許のほか(1)薬局の休廃止届け出など行政への対応が遅れても〇五年一月末までに届ければ行政、刑事上の責任は問わない(2)地震被害で債務超過になった会社は、支払い不能に陥った場合を除き〇六年十月二十二日まで裁判所は破産宣告できない―を盛り込んだ。責任を問うかは、地震で遅れたかどうかを行政機関などが判断する。
11/11

中越地震で40人目の死者 小千谷の住民が一時帰宅

新潟県中越地震で被災し、入院していた十日町市の男性(78)が十月二十八日に亡くなっていたことが、十一日分かった。地震による死者は四十人目。小学生三人が死亡するなど大きな被害を受け、五十一世帯に避難勧告が出ている小千谷市塩谷地区の住民約百四十人が、地震発生以来初めて一時帰宅。市中心部から集落に向かう道は通行できないため、隣の川口町から車六十台に分乗して自宅に向かった。新潟県は、被害を受けた文化財の状況を調査した。対象は旧長谷川家住宅(越路町)など、倒壊するなどの被害が出た国指定の重要文化財。今後修復方法を検討する。新潟県エルピーガス協会によると、プロパンガス(LPガス)を利用している八万世帯で続けてきた器具の修理と点検がほぼ終了し、復旧した。JR東日本は、上越新幹線とき325号の撤去作業を続け、クレーンで二号車と三号車を下り線から上り線に移し替えた。十一日午後五時現在の避難者数は約一万二千五百人。県災害対策本部、日本赤十字社新潟県支部、新潟県共同募金会に寄せられた義援金は同日までに計約九十三億八千万円に上った。
11/11

ああ、息子のランドセル 見つけた姉「傷なくて…」

ああ、よかった。見つかった。新潟県小千谷市塩谷地区の養鯉(ようり)業星野剛(ほしの・つよし)さん(48)は避難勧告が出ている自宅に十一日、一時帰宅し、地震で亡くなった長男の有希(ゆうき)君(11)のランドセルを避難所に持ち帰った。「見慣れた息子のランドセル。形見にしようと思って」。暗い顔を見せず、思い出の品を車から運び出した。ランドセルを見つけたのは長女の英恵(はなえ)さん(13)だった。家はメチャメチャに崩れていたのに「傷が全然なくて…」。ほかに有希君が工作で作ったグラスと野球のグローブも。星野さんは「女房が嫌がるなら、見えないところにでも置いておこうかな」と笑顔も見せた。塩谷地区の住民のうち約百四十人がこの日、隣の川口町から車約六十台に分乗し、ボランティア四十数人と市職員らの同行で初めて一時帰宅。住民は助けを借りて倒壊した家屋から、電動のこぎりを使うなどして遺品や貴重品を取り出した。星野さんは、地震で死んだ家族同然の闘牛の埋葬も済ませ、形見に牛の角を持ち帰った。約半月ぶりの帰宅。「ひどいのは分かっていたけど、自分の故郷だし懐かしかった」。来春にはコイの養殖再開に向けた準備も始めたいという。町内会長を務める星野さんは避難所に戻り、ボランティアや住民を集めてあいさつした。「支援していただきありがたく思います。この気持ちを忘れず、どこかで災害があったときは、お返しをしたい」 地域住民の取りまとめ役として力強く語った。
11/11

子供のケアに心理士派遣 心の傷にきめ細かな対応

新潟県中越地震で心に傷を負った子供たちにきめ細かな対応をするため、新潟県教育委員会は十一日、長岡市など被災地の小学校四校、中学校二校に臨床心理士らカウンセラー六人を派遣して心のケアを始めた。県教委は県内の臨床心理士ら二十八人に加え、福島、群馬、長野、福井各県の専門家約三十人にも応援を要請、一次分として十九日まで各地に派遣する。被災者は心に大きな傷を負うと、不安や抑うつなどの心理的な症状のほかに、頭痛や筋肉痛などの体の症状も出やすくなる。極度の動揺やストレスが続く場合には専門家の援助が必要で、特に高齢者や子供には十分な配慮が求められている。県教委はケアの方法について一日から九日までの間、被災地の教員に講習会を実施。各学校でも「こころの健康調査票」を活用したアンケートで、子供たちの心の状態の把握を進めた。アンケートでは「(地震のことが)気になってしかたがない」「なかなか集中できない」などと回答する児童・生徒もいた。教員が個別面談などで聴き取りを行ったが、重いと判断されたケースについては、心的外傷後ストレス障害(PTSD)につながらないよう専門家に依頼する。阪神大震災では、頭痛や食欲不振などを訴えるPTSDを負った子供が多数報告され、十年後の現在も兵庫県教委の調査で小中学生千三百三十七人が「教育的配慮が必要」と判断された。また、新潟県教委は教育現場の復興支援策として、教員約百五十人を長岡市、小千谷市などの小中学校に増員する「特例加配」を近く国に求める。
11/11

小千谷の住民が一時帰宅 新たな避難勧告も

新潟県中越地震で小学生三人が死亡するなど大きな被害を受け、五十一世帯に避難勧告が出ている小千谷市塩谷地区の住民が十一日、地震発生以来初めて一時帰宅した。市中心部から集落に向かう道は通行できないため、住民約百四十人が隣の川口町から車六十台に分乗して自宅に向かった。ボランティア四十数人と市職員も計約十台で同行した。一方、同市は相次ぐ余震でがけ崩れの恐れが高まったとして、新たに船岡地区の十三世帯四十八人に避難勧告を出した。全国中小企業団体中央会は新潟市内で全国大会を開催。災害復旧のため、国と県に大規模な補正予算編成などを求める特別決議をした。JR東日本は、脱線した上越新幹線「とき」の撤去作業を続けた。順調にいけば午後、後尾側の二号車を上り線上の台車に移し、長岡駅に運ぶ。避難者数は十一日午前九時現在、約一万二千五百人。県災害対策本部、日本赤十字社新潟県支部、新潟県共同募金会に寄せられた義援金は十一日までに計約九十三億八千万円に上った。
11/11

建設開始は1400戸 仮設住宅に建設遅れの懸念

新潟県中越地震で県が進めている仮設住宅建設で、くい打ちなどの基礎工事が始まった住宅は千四百戸程度にとどまり、県が十日午前十時現在で着工済みとした約三千二百戸と大幅に差があることが、工事関係者の話で分かった。被災した自治体は計三千七百戸の建設を要望。県は「雪の季節を逆算して住宅建設を進める」として十二月中旬には全戸完成させる方針だが、半数以上で工事が始まっておらず建設の遅れが懸念されている。関係者によると、県の建設予定地は、傾斜地で用地造成をする必要があったり、車で避難生活をする住民がいたりして、調整が必要なケースが報告されている。道路が寸断され、下水道などが使えない場所では住宅敷地内に処理槽などを設置するため、通常の二週間程度の工期が、約三週間になるとみられる。最も早い仮設住宅の完工は、長岡市の操車場跡地などで、今月二十三日ごろになる見込み。県は着工数の違いについて「基礎工事前の測量段階も含めているため結果的に数字が離れているように見える。予定通りに完工できると思う」と説明している。また、仮設住宅は柱やはりに二メートルの積雪に耐えられる丈夫な鋼材を使用する特別仕様で、一戸当たりの建設コストは、七月の水害時に建てた住宅の約三百五十万円と比べて二、三割増加するとの試算も判明。泉田裕彦(いずみだ・ひろひこ)知事は被災地の実情に即した復興のため、柔軟な財政支援を行うよう政府に要請する。一九九五年一月の阪神大震災では、地震直後に仮設住宅の建設を開始し約四十日後には約七千戸が完成。約十カ月後のピーク時には約四万六千世帯が入居していた。
11/11

宅地復旧で専門チーム

国土交通省は十日、新潟県中越地震で被害を受けた宅地の復旧を支援する専門家チームを十五日から約一カ月間派遣すると発表した。被災地に約二十人が常駐し、県や市町村と連携して、例えば宅地が崩れて道路を覆っていれば、「道路復旧の事業との調整が必要」などと被災者に対し具体的にアドバイスする。地震による宅地被害は、八日まで危険度判定した長岡市、小千谷市など約三千カ所のうち、四百三十九カ所が「危険」となっている。
11/10

風評被害防止のHP作成

新潟県は十日、新潟県中越地震で県全体が大きな打撃を受けているという風評による被害を防止しようと、県のホームページ(HP)「がんばってます!にいがた営業中」を開設した。HPは、震源地周辺を除いて産業活動が活発なことをアピール。祭りなどのイベントや観光の情報も盛り込んでいる。HPのアドレスはhttp://www.pref.niigata.jp/genki/
11/10

ボランティア窓口と交通

新潟県中越地震の救援ボランティア、義援金の受付問い合わせ先とアクセス状況は次の通り。【ボランティア窓口】新潟県災害救援ボランティア本部025(281)5527▽小千谷市0258(81)6252▽川口町080(5098)6186 【義援金】新潟県出納局管理課025(280)5484▽日本赤十字社本社03(3437)7081▽新潟県共同募金会025(281)5532 【鉄道】長野―新潟を越後線経由の臨時列車が一日四往復運行。運転見合わせは次の区間(十日午後六時現在)上越新幹線越後湯沢―長岡▽上越線六日町―宮内▽信越線柏崎―長岡▽只見線小出―只見▽飯山線十日町―越後川口 【道路】関越道は小出―長岡間で上下線とも片側一車線通行
11/10

豪雪配慮した財政支援を 新潟県が国に要望書

新潟県中越地震で十日、県は豪雪地帯という地域の特殊性に配慮した「雪国仕様」の仮設住宅が緊急に必要として、阪神淡路大震災特別措置法に準じた国の財政支援を求める要望書をまとめた。全国知事会で上京する泉田裕彦知事が十一、十二日、政府に要望書を提出し、支援を要請する。山古志村の天然ダムの土石流防止対策について、国交省北陸地方整備局は今週末の完了を目指す方針を明らかにした。同局は最大規模の東竹沢地区で、水位が上昇しないようポンプ二台で排水。今後、新たに陸路でブルドーザーなどを五台入れ、盛り土をしてダムの周囲を補強する。長岡市の避難所五カ所で山古志村の住民計約四百人がインフルエンザの予防接種を受けた。被災した長岡市と栃尾市の両市長が県庁を訪問。地盤の液状化で住めなくなった住宅は、被災者生活再建支援法の適用が受けられるよう国への働き掛けを頼んだ。十日午後五時現在、避難者数は約一万五千人。県幹部や経済団体は、観光地で深刻な影響が出ているとして、学会などコンベンションの誘致に対する支援を、国土交通省北陸信越運輸局長に求めた。十日未明、見附市で震度5弱を観測するなど強い余震があり、二人が軽いけがをした。
11/10

脱線「とき」撤去作業再開 1号車を載せ替える

JR東日本は十日、新潟県中越地震で長岡市内の高架橋上で脱線した上越新幹線とき325号の車体を、撤去のためレールの上に戻す作業を再開した。十月二十七日にジャッキで車両ごと持ち上げる方法で作業に着手したが、開始直後に激しい余震に見舞われ、中断した。今回は安全のため作業員は高さ約十四メートルの高架上にある車両の床下に潜らず、大型クレーンで車体(約四十八トン)を持ち上げ、反対側の線路に用意した台車に載せ替える方法を採用。余震を警戒しながらの慎重な作業となった。外れたレールや金属片が辺りに散乱する中、この日午前九時すぎ、作業は開始。脱線し約三〇度傾いている最後尾の一号車には青いシートがかぶせられ、車体下にワイヤが通された。ワイヤでつり上げられ約五十センチ宙に浮いた一号車は少し揺れながら、ゆっくりと反対線路上の台車に載せ替えられ、この日夕、作業を終えた。JR東日本はすべての車両を順次、新潟市の車両基地にけん引し、収容する一連の作業を十九日までに終えたいという。現場に立ち会った小倉雅彦(おぐら・まさひこ)常務は「今日の作業は順調だった。線路は一カ月程度で修復可能だが、トンネルは調査中で(復旧時期は)何とも言えない」と話していた。
11/10

満杯の予約、ガラガラに 佐渡では2万件キャンセル

新潟県中越地震は、直接的な被害がなかった佐渡島や湯沢温泉(湯沢町)などにも深刻な影響を与えている。県全域が余震で危険という「風評」の被害が出ており、関係者は頭を抱えている。昨年は約七十三万人の観光客が訪れた佐渡市は、上越新幹線の越後湯沢―長岡間が不通のため、旅行客の足を奪われた格好。市観光商工課によると、地震発生翌日の十月二十四日以降、二万二千件以上の宿泊予約がキャンセルされた。佐渡島への三航路を運航する佐渡汽船の地震発生後から今月上旬まで利用者数は、前年比で40%以上減少した。七月の水害、相次いだ台風の影響も大きかっただけに斎藤正(さいとう・ただし)観光商工課長は「五月までは好調だったのに壊滅的な大打撃。立ち直ることができるかどうか」と肩を落とす。東京発の新幹線の終着駅になった越後湯沢。川端康成が小説「雪国」を執筆した宿として知られる「高半ホテル」。十一日まで予約で満室だったが、発生翌日からキャンセルが相次ぎ、約四十人の従業員は半数ずつの交代制にした。おかみの高橋(たかはし)はるみさん(57)は「雪が降ったらお客さんは減り始める。この時期に稼いでおかないと…。最悪です」と顔を曇らせた。「ホテル双葉」ではキャンセルが既に一万人を超えた。二つある大浴場のうち一つは湯を止めた。おかみ小林房子(こばやし・ふさこ)さん(63)は「元気の元はお客さん。いないと切ない」と寂しそうに話した。
11/10

観光客激減で実態調査 新潟県、深刻な風評被害

新潟県中越地震以降、同県を訪れる観光客が激減、被災地以外の宿泊施設にも大きな影響が出ていることが分かり、県は十日までに実態調査を始めた。上越新幹線が脱線事故で一部不通となっていることに加え、強い余震で県全域が危険ではないかとの「風評」も追い打ちをかけている。調査は県内の主なホテルや温泉旅館が対象。十月二十三日の地震発生から約二週間後の営業状態や宿泊客の動向を探っている。スキーシーズンを控え、週内にも結果をまとめ、早急に対応する方針。県旅館組合によると、小千谷市などの被災地を除いた地域の予約キャンセルは、地震発生からの一週間で約八割に上った。県は十日、風評被害を抑えるために、国土交通省に対し旅行業界に対する周知を求めた。脱線車両の撤去作業が始まった上越新幹線は、越後湯沢―長岡間の復旧の見通しが依然、立っていない。通常は二時間程度の東京―新潟間の所要時間が、代行バスを利用すると約四時間半かかる。航空会社が羽田―新潟に臨時便を一日八往復運航しているが、新幹線の輸送力には及ばない。東京―新潟間の代替ルートはほかに、鉄道では長野新幹線経由で約五時間半、高速バスで約六時間。道路に被害があるため、バスツアーなども困難になっている。新潟から船を利用する佐渡など、遠隔地の観光地はさらに条件が不利になり、危機感を強めた佐渡市や観光協会のスタッフが、首都圏などの旅行会社を回り「佐渡は安全」とPRしている。
11/10

山陽新幹線の耐震補強進む JR西、新潟地震で前倒し

新潟県中越地震で上越新幹線に車両脱線などの深刻な被害が出たことを受け、JR西日本は山陽新幹線の高架橋耐震補強工事を予定より前倒しして進めている。国土交通省の要請で、二〇〇八年度としていた工事完了時期を繰り上げる。また補強の必要はないと判断していた個所も今後、総点検の準備に入る。山陽新幹線は全線約五百五十キロのうち高架橋区間が52%で、橋脚は計四万千六百本。一九九五年の阪神大震災では、兵庫県内の計八カ所で橋げたが落下して倒壊。橋脚計約七百本も損傷した。このため同社は計三万二千五百本を補強対象とし、国は新大阪―岡山間を「緊急耐震補強対策エリア」に指定。九六年一月、同区間を中心に工事が始まり、これまでに95%が終わった。今回補強を本格化させたのは岡山以西。うち広島駅の西約十キロに位置する広島市佐伯区の高架橋は九日までの工事で、コンクリート製橋脚の強度を高めるため、作業員が周囲に鉄筋を巻き付けるなどした。岡山以西の進ちょく率は25%に過ぎず、現在も一万七百本の工事が実施されていない。二○○一年の芸予地震では、広島県内の補強前の高架橋に亀裂が入り、対策は急務となっている。
11/10

想定の範囲内の余震 M5以上、1カ月は注意を

十日未明に発生した最大震度5弱の余震を受けて気象庁は同日朝「想定の範囲内の余震であり、活動は全体的に減衰しながらも、活発と静穏を繰り返している」と発表した。さらに「所によっては震度5強や5弱になるマグニチュード(M)5以上の揺れが起きる可能性はまだ高く、少なくとも今後一カ月程度は警戒が必要」とした。十日未明の余震は活動域の北東側で発生したが、活動域の拡大など特別な変化はないという。新潟県中越地震での震度5弱以上の揺れは本震も含めて計十八回となった。気象庁の山本雅博(やまもと・まさひろ)地震津波監視課長は「地盤が弱い所では局所的に強い揺れになることもある。損傷家屋などは倒壊の恐れもあるため、十分注意してほしい」と呼び掛けた。
11/10

被災者宅の庭に「避難所」 国、新潟県が公費で設置

新潟県中越地震で、住民が被災した自宅を修理する間、庭などの敷地内で寝泊まりできるように、県は十日までに、建設工事の事務所に使うプレハブの建物や自衛隊のテントを「避難所」として公費で設置することを決めた。厚生労働省も災害救助法の避難所として設置することを認め、県は被災自治体に希望数の調査を要請した。自宅の敷地が広い被災者も多く「修理中も家のそばで寝たい」という声に応えた。県は「地域の中で生活再建を促進でき、集合型避難所で問題となるプライバシーも守られる」と説明。エコノミークラス症候群が心配される車内泊を避けるメリットもありそうだ。県によると、プレハブの「ユニットハウス」は六・五平方メートル、十平方メートル、十二平方メートルの三種類。照明やコンセントはあるが、煮炊き用の水道やガスの設備はなく「寝るだけ」の施設という。期間は自宅の修理が完了するか、仮設住宅への入居が決まるまでで、県は年内の一カ月間程度を想定。リース料は災害救助費で補てんし、電気代は住民が負担する。ユニットハウスは約百九十戸を準備。不足すれば、自衛隊のテントを設置する。
11/10

被災の銘酒が出荷再開

新潟県中越地震で被災した越路町の朝日酒造は十日、地震後ストップしていた日本酒「久保田」の出荷を再開した。午前八時、震災後に瓶詰めした清酒約百二十七トンをトラック十八台で出荷した。ロンドンへの輸出分もあるという。製造ラインは八日に再開。地震から自宅の避難勧告解除までの二週間、車の中で生活をしながら出社した幹部もいた。安藤正芳(あんどう・まさよし)広報課長は「新潟のおいしいお酒を早く楽しんでもらいたいと頑張った」と話していた。
11/10

秋の夜長がヘリ作業に制約 日照が30分以上も減少

秋が深まり、日々短くなる日差しが、新潟県中越地震の復旧作業を制約している。道路が寸断された山古志村などで、輸送の唯一の手段になっているヘリコプターの運用時間が、日々減少していくためだ。新潟地方気象台によると、地震があった十月二十三日は長岡市で日照時間が約十一時間あったが、十日までに三十分以上減少。最も日が短い冬至の十二月二十一日には九時間三十五分になる。山古志村東竹沢地区の芋川の天然ダムの防災作業現場は車が入れず、輸送は陸上自衛隊のヘリ頼み。七トンの資材を搭載可能な大型ヘリを常時三―五機使い、小千谷市の河川敷のヘリポートを拠点に土のう(約二トン)八百個を運ぶほか、重機など建設資材の輸送を続けている。陸自東部方面総監部によると、ヘリによる資材の積み降ろしと空輸作業は危険なため昼間に限られる。地形から上空にとどまれるのは三機が限界で、土のうも一機に二個しか積めない。このため、整備・補給の拠点の新潟空港から小千谷市まで夜間飛行し、日の出とともに輸送作業を始めるぎりぎりの計画を組んでいる。山古志村から肉牛約一千頭を運ぶ作業を請け負っている民間のヘリ運航会社は、一日の輸送が約六十頭に限られるため「新潟空港に戻す必要があり、午後四時すぎに最後のヘリが離陸しないと間に合わない」と作業時間の短さを嘆いている。
11/10

被災地に強い余震 新潟県が観光で支援要請

新潟県中越地震の被災地で十日未明、見附市で震度5弱を観測するなど、強い余震があった。県や県警によると、女性二人が軽いけがをしたが、大きな被害の報告はないという。地震後、県内の観光地でキャンセルが相次ぐなど、深刻な影響が出ているため、県幹部や経済団体の関係者が十日午前、国土交通省北陸信越運輸局長に支援を要請した。県などは、学会や講演会といったコンベンションの誘致に対する支援や、風評被害を受けないよう旅行業界に対する周知を求めた。全村避難の山古志村の住民は長岡市内の避難所で、インフルエンザの予防接種を受ける。同村の東竹沢地区の「天然ダム」では、国交省北陸地方整備局と県が土のうを積む防災対策を続ける。一部地域が断水中の越路町は十日にも全面復旧の見通し。小千谷市は被害が深刻な一部地域を除き、ガスの供給が再開する予定。 避難者は十日午前九時現在、約一万五千人。
11/10

脱線「とき」撤去再開 余震に備え、車体つり上げ 異例、14メートルの高架橋上

JR東日本は十日、新潟県中越地震で長岡市内の高架橋上で脱線した上越新幹線とき325号の車体を、撤去のためレールの上に戻す作業を再開した。十月二十七日にジャッキで車両ごと持ち上げる方法で作業に着手したが、開始直後に激しい余震に見舞われ、中断した。JR東日本によると、今回は安全のため作業員は高さ約十四メートルの高架上にある車両の床下に潜らず、大型クレーンで車体(一両約四十八トン)を持ち上げ、反対側の線路に用意した台車に載せ替える方法を採用した。大型クレーンを使い、十四メートルの高架上で脱線車両を撤去する作業は過去に例がないという。余震を警戒しながらの慎重な作業となった。外れたレールや金属片が辺りに散乱する中、この日午前九時すぎ、ヘルメットに作業服姿の約五十人が続々と線路上に集まり、まず新しい台車が反対側上り線に据え付けられた。脱線し約三〇度傾いている最後尾の一号車には青いシートがかぶせられ、車体下にワイヤが通され、二台のクレーンでゆっくりと水平の状態に戻された。つり上げ作業は一両ずつ行うため、一、二号車の連結部をバーナーで切断した。午後に一号車を反対の線路上に載せ替える作業を行う。JR東日本はすべての車両を順次、新潟市の車両基地にけん引し、収容する一連の作業を十九日までに終えたいという。大塚陸毅(おおつか・むつたけ)社長は九日、越後湯沢―長岡間のトンネル被害について「余震で損壊状況の点検ができない」とし、全線復旧の見通しが立たないことを明らかにしている。
11/10

大阪のお笑いで元気出して 被災者へチャリティー公演

新潟県中越地震など相次いだ災害の被災者を、お笑いを通じて励まそうと、大阪府などはチャリティー公演「上方演芸の輪!」を、二十一日に大阪府立上方演芸資料館(大阪市)で開催すると九日、発表した。日ごろはライバル同士でもある大阪の吉本興業や松竹芸能など芸能各社が、協力してつくる異例のイベントで、府の呼び掛けで実現した。出演するのは喜味(きみ)こいしさん、今(いま)いくよ・くるよさん、桂雀々(かつら・じゃくじゃく)さんら約二十人。入場料は二千円で、益金は日本赤十字社を通じて被災地に届ける。オークションや募金活動も行う。また「芸でも気持ちを伝えたい」と、避難所へのテレビ中継も検討する。阪神大震災で被災し、避難所を慰問した講談師の旭堂小南陵(きょくどう・こなんりょう)さんは「災害時はお笑いを自粛しがちだが、現場で笑いを欲している人はいる」と話す。問い合わせは同資料館内の事務局06(6631)0884。
11/09

トンネル損傷、点検できず 上越新幹線の復旧時期不明

JR東日本の大塚陸毅(おおつか・むつたけ)社長は九日、新潟県中越地震後初めて記者会見し、上越新幹線浦佐―長岡間のトンネル被害に触れ「大きな余震があり、損壊状況の点検ができず難渋している。(全体の)復旧の見込みは現時点で申せない」と語った。また「トンネルは地震に強いという前提だった。強い岩盤に支えられ、丈夫とされたが、基盤が隆起した」と驚きを隠さなかった。今後の対策について大塚社長は「脱線メカニズムを十分検証し、構造物の耐震性を高めていく」とし、当面は斜めの亀裂が入る「せん断」破壊の恐れがある東北、上越新幹線の高架橋柱の耐震工事を急ぐ。阪神大震災と昨年の三陸南地震以降、管内約八万二千本の新幹線高架橋柱のうち、補修が必要と指摘されたのは約一万八千五百本。「(補修済みを除いた)約一万四百本をできるだけ早く終えたい」と、補強工事を前倒しすることを明らかにした。一方、阪神大震災で大きな被害を受けたJR西日本の垣内剛(かきうち・たけし)社長はこの日、都内の国際会議に出席。記者団に「脱線は重大で、厳粛に受け止めている。国土交通省が今後議論する脱線メカニズムを踏まえ、万全の対策を取る」と述べた。
11/09

学校施設49棟は「危険」 使用禁止18棟、文科省調査

文部科学省は九日、新潟県中越地震で被災した学校のうち二十六校の四十九棟について「危険」と判定、そのまま使用するのは適当でないと発表した。十月二十九日から六日間、文科省の「被災文教施設応急危険度判定士」らが小千谷市、魚沼市、越路町、川口町の小中学校三十三校百三十六棟を調査した。「危険」判定のうち、十二校十八棟は木造の建物が傾いたり、鉄筋コンクリートの柱に大きなひびが入っており、使用を禁止するよう求めた。十四校三十一棟は、外壁のはく離などの恐れがあったが、応急処置を取れば使用することができるという。ほかに注意が必要な「要注意」判定が二十八棟(十七校)あり、危険がない建物は五十九棟(二十六校)だった。
11/09

竜光地区の避難勧告解除 携帯トイレ2百万個を確保

新潟県中越地震で、魚沼市は九日、山古志村の芋川にできた天然ダム下流の竜光地区(旧堀之内町)の百一世帯、四百三十九人に出していた避難勧告を十日ぶりに解除し、住民が自宅に戻った。竜光地区は天然ダムが決壊した場合に土石流の危険があった。国土交通省北陸地方整備局と県が一定量の排水能力を持つポンプや排水溝を設置。土石流を感知するセンサーを改良して増設するなどの防災対策で、一定の安全が確保されたと判断した。天然ダム問題では、最大規模の東竹沢地区のダム水位が約五十センチ上昇したため、国土交通省北陸地方整備局と県が断続的に排水作業をして水位を調整。寺野地区のダムでは排水管の設置工事を継続した。また県は避難所の実態調査を受けて、被災者の要望が切実なトイレ対策として、携帯トイレ二百万個を確保。下水道被害が大きい小千谷市、川口町の被災者らに既に二万個を配布した。避難所には高齢者らが利用しやすい簡易洋式トイレ八百五十二個の設置を進める。国土交通省北陸地方整備局は、液状化現象でマンホールの隆起や沈下が千三百カ所以上も発生したため、専門家でつくる下水道地震対策技術検討委員会を設置、小千谷市内を視察した。県は新たに三条市や巻町など二十四市町村について災害救助法の適用を発表。救助法を適用された県内の自治体は計五十四市町村になった。九日も午前四時すぎに魚沼市で震度4を観測する地震があるなど、余震が続いた。被災地の断水は七市町の計約四千三百世帯。ガスの供給停止は六市町の計一万二千世帯。避難者数は九日午後一時半現在、約一万七千人。
11/09

阪神大震災超え968億円 過去最悪の農業被害に

農水省は九日、新潟県中越地震による農林水産業の被害額が、暫定的な集計で約九百六十八億円になったと発表した。阪神大震災の九百十二億円を上回り、地震被害としては比較可能な過去二十年間では最悪。集計には、農作物やニシキゴイなど水産被害は含まれておらず、最終的な被害額はさらに増えそうだ。暫定値は、新潟、福島両県の八日までの報告をまとめた。水田の崩壊やため池の堤の亀裂など農地や農業用施設の被害が約八百四十八億円。山腹の崩壊や林道の損壊が約百二十億円だった。営農施設では、ビニールハウス、畜舎、倉庫など三千二百棟の損壊が確認されているが、被害額は調査中。停電による酸素不足でコイの養殖に深刻な被害が出ているが、被害額は不明。出荷できなくなった農産物や牛の管理不能による被害、農協の店舗損壊なども暫定集計には含まれていない。農水省は十二日をめどに、これらの被害を含む総額を集計する方針。また農水省は九日付で、台風や地震の被害を受けた地域の復旧工事に、地元の被災農家を優先的に雇用するよう要請する通達を各地方農政局に出した。自治体が実施する復旧工事を通じて雇用を確保し、就労機会や収入が減る農家を救済するのが狙い。被害を受けた田畑については、コシヒカリなど来年の稲作に影響が出ないよう、通常は被害額を査定した後実施する復旧工事を、査定前に着工するなど柔軟に対応する。降雪があると復旧工事が困難になり、春以降の着工では田植えに間に合わなくなる恐れがあるためだ。新潟県が九日午後まとめた農業被害集計によると、ため池が六十三カ所、水路はのり面の崩壊などで百八十一カ所が損壊。ダムや道路などを含めた農業施設の被害は計三百八十三カ所に上った。水田被害は魚沼市(旧堀之内町、旧小出町)や下田村の百二カ所、二七・一ヘクタール。また柏崎市など二十三市町村内の農家を主とした計七十二カ所の集落で、汚水管やマンホールが壊れるなど下水道施設に被害が出た。
11/09

未明に震度4の余震 韓国・済州島からも支援

新潟県中越地震で県は九日、仮設住宅の建設や水道の復旧など被災者の生活再建を進めた。午前四時すぎ、魚沼市で震度4を観測するなど、未明から余震が相次いだ。県は新たに三条市や巻町など二十四市町村について、十月二十三日にさかのぼって災害救助法を適用すると発表。救助法を適用された県内の自治体は、これで計五十四市町村になった。済州島で知られる韓国済州道のカン・ジュンヒョン国際関係諮問大使らが県庁を訪問。泉田裕彦知事に済州道知事の見舞状を手渡したほか、済州島産のミネラルウオーター約一万本を贈呈した。カン大使は阪神大震災の際、神戸で韓国の領事を務めていたという。国土交通省北陸地方整備局は、液状化現象でマンホールの隆起や沈下が千三百カ所以上、発生したことを受け、下水道施設の耐震対策を協議する委員会を開催。避難者数は八日午後五時現在、約一万八千人。
11/09

「畳の上で眠れる」 10日ぶりの避難解除に拍手

避難先の小学校から谷沿いの集落までの道のりはわずか一キロ。わが家に戻る気持ちがはやった。新潟県中越地震で魚沼市が竜光地区(旧堀之内町)に出していた避難勧告を九日午前九時に解除。四百人以上の住民が、畳の上で眠れる生活を十日ぶりに取り戻した。避難所の宇賀地小学校では午前九時、星野芳昭(ほしの・よしあき)・元堀之内町長が「長い間ご苦労さまでした」とお年寄りら約五十人をねぎらい、竜光地区の区長が解除を宣言すると拍手が響いた。布団や食料を積み終えていた軽乗用車やトラックが、通行規制がなくなった集落に次々と向かった。家に戻った住民は農機具を手入れしたり、布団を干したり。総出で片付けをする家族も。会社員下村正晴(しもむら・まさはる)さん(55)は「自宅の畳で寝るのは避難所とは違う。雪が降る前に帰宅できてよかった」と笑顔で話した。農業下村(しもむら)よりさん(80)も「雪の前に野菜を収穫できるから、被災した親せきに配ってあげたい」とうれしそう。しかし芋川の両岸には大型の土のうが積まれ、土石流をセンサーが察知した場合に鳴る警報機のテストでサイレンが何度も響いた。土石流の恐れがなくなったわけではなく、余震の恐怖もある。自宅の外にいた主婦(57)は「寝ている時やテレビを見ている時に(サイレンが)聞こえるかどうか心配」。芋川沿いに住む主婦須田京子(すだ・きょうこ)さん(53)は「家は壁がはがれて住める状態じゃない。余震が続くのでしばらくテント暮らしです」と疲れた表情だった。
11/09

竜光地区の避難勧告を解除 魚沼市、土石流対策が前進

新潟県中越地震による土砂崩れのため山古志村の芋川に天然ダムができた問題で、魚沼市は九日、竜光地区(旧堀之内町)の百一世帯四百三十九人に、十月三十日から出していた避難勧告を十日ぶりに解除した。午前九時に現地の通行規制が解かれると、待ちわびた住民の乗用車やトラックが荷物を積んで、次々と自宅に向かった。竜光地区は、芋川が魚野川に流れ込む合流地点に近く、天然ダムが決壊した場合は土石流の危険があったが、国土交通省北陸地方整備局と県の防災対策で一定の安全が確保されたと判断した。芋川の天然ダムは山古志村などの五カ所で確認。最大規模の同村東竹沢地区では、満水時には東京ドーム(約百二十四万立方メートル)二つ分に相当する約二百五十六万立方メートルと推測され、土石流発生の危険性が指摘されていた。このため、国交省と県は、天然ダム周辺に自衛隊ヘリで重機やポンプ、発電機などを輸送して、一定量の排水能力を持つポンプや排水溝を設置。土石流を感知するセンサーも改良して増設した。魚沼市は八日の住民説明会で、避難勧告解除の方針を明らかにした。住民は一日数時間帰宅をするほかは、宇賀地小学校で避難生活をしていた。
11/09

天然ダムの土石流対策進む 避難勧告の解除も検討

新潟県中越地震による土砂崩れのため山古志村の芋川に天然ダムができた問題で、国土交通省北陸地方整備局と県は八日、土石流を防ぐ緊急対策事業を進めた。当初は八日中に終了の予定だったが、土のうを積む作業が遅れ、九日以降も継続する。安全対策が進んでいるため、魚沼市は竜光地区(旧堀之内町)の百一世帯四百三十九人に出した避難勧告の解除を検討する。最も土石流が懸念される東竹沢地区では、ポンプ六台と長さ約百五十メートルの水路を設置し、水位が上昇した場合に排水できる態勢を整備。泥水があふれ出ないよう、自衛隊のヘリコプターで空輸した土のうを積む作業を続けている。寺野地区ではポンプによる排水のほか、ダムに排水管を埋設。両地区のダムには土石流感知センサーも設置した。八日は強い余震が続発したが、土砂崩れなどはなく、作業に大きな影響はなかった。
11/08

余震、長期化の様相も 複雑な地殻構造が背景に

新潟県中越地震は本震から二週間以上経過した八日午前に最大震度5強の揺れが発生、余震活動は長期化の様相を呈している。気象庁は「複雑な地殻構造の地域である上に、蓄積された『ひずみ』が三つの断層で解放されるため、活発な余震活動が続いたのではないか」と説明、引き続き注意を呼び掛けた。気象庁によると、中越地震では、八日正午までに震度5弱以上の揺れは、5弱が四回、5強八回、6弱二回、6強二回、7が本震の一回起きた。一方、中越地震と同じ最大震度7の阪神大震災は、本震発生の当日に起きたマグニチュード(M)5・4、震度4の余震が最大だった。気象庁は「阪神大震災は本震で一気にひずみのエネルギーが解放されたため、余震活動は低調だったのではないか」とみている。気象庁によると、震源の深さが三〇キロより浅い内陸地震では、一九七四年五月九日に起きた伊豆半島沖地震は約二カ月後の七月九日にM4・9の最大余震が発生。二七年三月七日の北丹後地震は一カ月近く経過した四月一日にM6・4の余震が発生したという。同庁の宇平幸一(うひら・こういち)地震情報企画官は「八日午前の揺れは、これまで比較的余震が少ない領域で起きており、まだ『ひずみ』が解放されていない部分が余震を引き起こしたのではないか」と話している。
11/08

いつまで続くのか 余震にパニック、うんざり

いつまで続くのか―。新潟県中越地震のやまない余震に八日、人々はやりきれない表情を見せた。余震で建物の外壁がはがれ、信号待ちをしていた幼稚園の女性教諭(26)と園児五人の頭上に降り注いだ新潟県栃尾市の現場。けがをしていない園児を含め約三十人が、突然の揺れと引率の先生の頭から血が流れるのを見て、驚き、泣き叫んだ。近くの飲食店にいた女性は(36)は「子供たちはパニック状態だった。救急車が来て先生とけがをした園児が搬送されると落ち着いたが、直後にまた余震があり、衝撃を受けたようだった」と話した。復旧作業中の男性(68)が一時、土砂崩れに巻き込まれた魚沼市の旧守門村は、周囲を山に囲まれ、余震のたびに土砂崩れや山崩れに神経をとがらせる。八日の余震は山肌を高さ約十五メートル、幅数メートルにわたりえぐった。雷のような音とともに岩が崩落、男性は山とフェンスにはさまれるように埋まった。居合わせた作業員や近所の住人が「大丈夫か」と声を掛けながら、つるはしなどで岩を砕き、助け出したという。合併後も役場で仕事を続ける佐藤義一(さとう・よしいち)前助役は「余震の合間を縫って復旧作業をしているが、余震がこうも続くとどうしようもない」とあきらめ顔だった。
11/08

2259人が避難生活 被災地の小中学生

新潟県中越地震の被災地の小中学校が全校で再開されたのを受け、新潟県教育委員会が被災地の児童・生徒らを対象とした「所在確認調査」を実施し、在籍数の3%に当たる二千二百五十九人の子供たちが避難所やテントなどでの生活を強いられていることが八日、分かった。県教委は今後、子供たちの生活実態を把握し、生活条件が悪い場合は学校を通じて保護者らに改善を指導、きめ細かいケアを図る。長岡市、小千谷市など中越地区の三十一市町村のほぼすべての公立小中学校、養護学校など計三百十六校が回答した。調査対象の児童・生徒数は約七万二千人。避難生活の場所は「避難所」七百十人、車内などの「その他」が五百十七人、「テント」が二百十四人。既に建っているプレハブなどを利用した「仮設住宅」も七人いた。親せき、知人宅は八百十一人で、約七万人は地震前からの住居で暮らしていた。県災害対策本部によると、八日午後五時現在の避難生活者は計約一万八千人。百七十五カ所の避難所で約一万四千二百人が暮らしているほか、四千人以上がテントや車内で寝泊まりしている。調査と併せて各学校でも詳しい聞き取りを実施し、健康状態に悪影響を及ぼす場所で暮らしていることなどが判明した場合は、教員が保護者らと改善策を話し合うように県教委が指示する。心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われ、学校側が対応できないケースは、カウンセラーを派遣して専門的なケアを試みる。県教委は被災地域の子供の保護者向けに、教育広報紙十二万四千部を臨時発行。震災で傷ついた心のケア対策を呼び掛ける。この日、大きな被害を受け、休校していた小千谷市などの小、中学校と高校計三十七校が再開し、公立の全小中高校の臨時休校が解消。家屋倒壊で男女児童計四人が亡くなった小千谷市や川口町の小学校では、犠牲になった児童を悼む全校集会などが開かれた。
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局所的に震度6の揺れも 1カ月程度は注意必要

気象庁の山本雅博(やまもと・まさひろ)地震津波監視課長は八日、記者会見し、今後の余震の見通しについて「地盤が弱い地域では局所的に震度6程度の揺れになることもある。損傷家屋は倒壊する恐れもあり、復旧作業に当たる人は十分注意してほしい」と呼び掛けた。八日午前の強い余震について「余震活動域の北東端付近で起きたとみられ、本震と同じタイプ」と分析。「震度5強の余震は想定の範囲内だが、ここ数日比較的規模の大きな揺れが続いており、少なくとも今後一カ月程度はマグニチュード5以上への注意が必要」と話した。
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天然ダムの事業は続行 余震で大きな影響なし

新潟県中越地震の土砂崩れで天然ダムができた同県山古志村では、国土交通省北陸地方整備局と県が八日午前から、土石流防止の緊急対策事業を実施。北陸地方整備局によると、余震による大きな被害は確認しておらず、作業は続けるという。事業は八日中に完了予定。県と旧堀之内町長は今後、ダム下流の魚沼市(旧堀之内町)竜光地区の百一世帯四百三十九人に対する避難勧告の解除を検討する。最大規模のダムのある東竹沢地区では、自衛隊ヘリが空輸した土のうを周囲に積んで泥水があふれるのを防止。上流側の寺野地区では排水管の設置工事を行った。新潟県は、長岡市の仮設住宅建設予定地に、お年寄りが入浴やリハビリに利用できるデイサービス施設(約三百平方メートル)の併設を決め、八日に着工した。今月末の完成を目指す。操車場の跡地に計約五百戸を建設する予定で、多数の高齢者の入居が見込まれる。全村避難の山古志村は午後一時、長岡市の市役所分室内に臨時事務所を開設。住民票の交付や被災証明の発行など住民サービスを再開する。避難者数は七日午後三時現在、二万四千五百六十人。
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復旧のさなか再び強い揺れ 言葉失う被災者ら

震度5強の激しい縦揺れ、立て続けの震度4。八日午前、再び強い余震に襲われた被災地では、再開された学校は授業を中止し、復旧を急ぐ人たちは言葉を失った。魚沼市(旧入広瀬村)の入広瀬庁舎。大きな揺れが来た瞬間、二階にいた職員らは手で頭を覆い、机につかまった。三階の方から何かが倒れるような大きな音がしたが、危なくて確認に上がることができないという。女性職員が「余震はずっと続いているが、今日のはかなり揺れた」と話すさなか、再度の揺れ。「あっ、また…」。言葉が途中で凍り付いた。小千谷市の小千谷総合病院では、八日から入院病棟が一部で再開され、転院していた患者が病室に戻る途中だった。六階の病室にいた患者らは、激しい揺れに驚いた様子で、看護師らが「大丈夫ですよ」と声を掛けて落ち着かせていた。山古志村の住民が避難している長岡市の県立長岡明徳高校の体育館では、ドスンという音に激しい横揺れが続き、窓ガラスがビリビリと音を立てて震えた。避難者たちは慌てて立ち上がったり、おびえた表情。口々に「怖い、怖い」とつぶやいていた。隣接する長岡市社会福祉センターでは、ボランティア活動のスタッフたちが一斉に屋外に飛び出した。スタッフの一人は「昨日は余り揺れなかったのに、今日は何回も揺れて怖い」と不安そう。長岡大手高校では生徒約一千人が教員らの指示で教室から校庭に急きょ避難。短時間で何回も続く地震に顔をこわばらせ、悲鳴を上げる女生徒も。この日再開した授業は中止になった。長岡市役所に相談に訪れていた女性からは「またこれで家が壊れたかしら。壁が落ちたかも」とため息交じりの声も聞かれた。
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公立の全小中高で学校再開 余震相次ぎ校庭に避難も

新潟県中越地震から十七日目の八日、大きな被害を受け、休校していた長岡市や小千谷市など被災地の小中学校と高校計三十七校が学校を再開、被災地にある公立の全小中高校の臨時休校が解消した。しかし午前十一時すぎに相次いだ余震で、児童、生徒が教室でヘルメットをかぶったり、校庭に避難する学校もあった。家屋倒壊で男女児童計四人が亡くなった小千谷市や川口町の小学校では、犠牲になった子供たちを悼む全校集会などが開かれ、校長らが「悲しみを乗り越えて頑張って」と避難生活が続く児童を励ました。県教育委員会によると、長岡市、小千谷市、越路町、山古志村、川口町の五市町村の小学校二十五校、中学校十校と小千谷市と魚沼市の県立高校二校がこの日、学校を再開。授業も一部で始まった。自宅が倒れて下敷きになった五年生の星野有希(ほしの・ゆうき)君(11)ら三人が通っていた小千谷市立東山小は、東小千谷小を間借りして再開。六年生の古田島千秋(こだしま・ちあき)さん(12)が亡くなった川口町立川口小にも児童が登校した。全住民が避難した山古志村の山古志小と山古志中は、それぞれ長岡市立阪之上(さかのうえ)小と南中で授業を開始。既に試験登校が行われ、子供たちは新しい教科書や筆記具などの学用品を受け取った。県教委のまとめでは、中越地方の小中学校の建物や施設のうち約八割が、地震で被害があったという。
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新潟・魚沼市で震度5強 M5・9、負傷者10人に

八日午前十一時十五分ごろ、新潟県を中心に広い範囲で地震があり、同県魚沼市の旧守門村で震度5強を観測した。栃尾市で七人、小千谷市で一人が負傷、魚沼市では二人が病院へ搬送された。上越新幹線が一部区間で運転を見合わせ、関越自動車道も一時、通行止めとなった。気象庁は今後も、局所的に震度6程度の揺れとなる余震が起きる恐れがあるとして、注意を呼び掛けた。気象庁によると、震源地は新潟県中越地方で、震源の深さはごく浅い。マグニチュード(M)は5・9と推定される。新潟県中越地震の余震で、午前十一時三十二分と同四十三分にも、震度4の地震が相次ぎ、未明にも震度4の地震があった。新潟県災害対策本部や同県警は、ほかに被害がないか確認を急いでいる。上越新幹線長岡―新潟は上下線で運転を見合わせ、走行中のとき202号(十両編成)が緊急停止したが、乗客約百十人にけがはなかった。栃尾市では、建物外壁がはがれ、散歩中の幼稚園の女性教諭(26)と三歳から六歳までの園児五人が軽傷、女性(60)がバイクで転倒し負傷した。小千谷市でも、男性(23)が転びけが。魚沼市では、道路工事現場で男性作業員(68)が崩れた土砂の下敷きになったが救助され、胸や足を打ちけが。地震によるショックで二十代の女性が救急搬送された。日本道路公団によると、関越自動車道六日町―長岡ジャンクション間の上下線、北陸自動車道三条燕―柏崎間上下線が一時、通行止めとなった。国交省北陸地方整備局によると、山古志村の天然ダムでは寺野地区、東竹沢地区とも土砂崩れの情報は入っていない。県教委は、八日朝から全面再開した公立小中学校で、児童生徒らにけがなどがなかったかを調べている。長岡市の長岡大手高校では、生徒が屋外に避難した。8日午前11時15分の地震による各地の震度は次の通り。震度5強=守門(新潟)▽震度5弱=栃尾、中之島、川口、入広瀬(新潟)▽震度4=只見、西会津(福島)安塚、長岡、三条、小千谷、加茂、見附、田上、下田、栄、越路、三島、与板、和島、出雲崎、堀之内、小出、湯之谷、広神、広神村役場、中里、小国、刈羽、燕、小須戸、分水、中之口(新潟)▽震度3=山辺(山形)田島(福島)茨城(茨城)沼田、片品、高崎(群馬)久喜(埼玉)上越、柏崎、十日町、新潟、五泉、巻(新潟)能都(石川)三水(長野)など▽震度2=古川(宮城)酒田、米沢(山形)郡山(福島)水戸(茨城)宇都宮(栃木)赤城(群馬)熊谷(埼玉)東京(東京)下末吉(神奈川)糸魚川(新潟)富山市役所(富山)輪島(石川)忍野(山梨)長野(長野)など
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